
リリーフながら3勝をマークし存在感を見せた伊勢
シーズンによっては、新人王候補に名を連ねていたかも知れない。ドラフト3位ルーキーの
伊勢大夢は開幕から安定した投球を続け、セ・リーグ屈指のタレントを誇る
DeNA救援陣の一角として居場所を築いた。今季最終戦を前にした成績は32試合に登板して防御率1.56。とりわけ10月はチーム最多登板の
パットン、
砂田毅樹に次ぐ13試合に起用されてプロ初を含む3勝をマークした。
新人王争いに名が挙がらない理由は2つある。本命の
森下暢仁(
広島)が2ケタ勝利&防御率1点台と圧倒的な数字を残し、
戸郷翔征(
巨人)も9勝を挙げてリーグ連覇に貢献。常にライバルの1番手と目されてきた。もう一つは、伊勢の起用法だ。チームは守護神・山崎が不調でもクローザーを務めた
三嶋一輝をはじめ、
石田健大、エスコバー、パットンと勝ちパターンを担う救援投手が豊富。伊勢が4ホールドにとどまったことからも、ビハインドや大量点差の登板が多かったことが分かる。
自身もそれを心得ていて、10月10日の
阪神戦(甲子園)でプロ初勝利を挙げた際には「いずれ自分も勝ちパターンで投げることを目指している。アピールを続けたい」と口元を締めた。ただ、リリーバーとしては最高の環境にいるという。特に今季途中から抑えを担った三嶋から学ぶものが多いそうで「一人ひとりの打者に魂を込めて投げていくというのを、僕も受け継いでいけたら」と語った。
ライバルの活躍が刺激となる。森下は明大の同期。「昨年まで4年間一緒にやって、僕は2番手だった。プロの戦いの中では負けたくない、僕のほうが目立ちたいという思いはある」と来シーズンの飛躍を期している。
写真=大賀章好