
粘りに破壊力を加えた攻撃へ。井口資仁監督は「21年が楽しみ」と心待ちにする
チーム打率は12球団最低の.235にとどまった2020年だが、12球団最多の491四球を選び、粘り強く得点をもぎ取った。
レアード、
マーティンと強打の外国人選手が故障で戦列を離れる中で、クライマックスシリーズ(CS)に進出。だが、
ソフトバンクに屈した。
試合後、井口資仁監督は「今年はそういう野球でしか勝てなかったし、徹底してやってくれた。21年になれば、戦い方も変わってくる」と窮余の策だったことを明かした。
今季最後の試合となった11月15日のCS第2戦が象徴的だった。相手を上回る12安打を放った上で、6四死球を選ぶ「らしさ」をのぞかせたものの、12残塁と好機をつぶして4対6で敗れた。指揮官は「もちろん毎年いろんな課題が出てくるけれど、終盤はなかなか打線が機能しなかった」と悔しがった。
シーズン序盤は好調だった井上と
中村奨吾が9月に入ってから失速。10月21日にマーティンが左足首を捻挫したことで打線の軸を失い、
藤原恭大や
清田育宏の奮闘も及ばなかった。シーズンの規定打席に到達した選手の中で、打率のチームトップは中村奨の.249。優勝を狙うチームとしては物足りない数字が並んだ。
CS後の秋季練習では、首脳陣と選手が面談を行い、21年に向けた課題を明確にした。中堅以下の選手たちはバットをみっちりと振り込んだ。打撃練習の様子を眺めていた指揮官は「今が一番調子いいんじゃないか。これだったら、21年が楽しみだ。もっと早くやってくれと思ったけれど」と顔をほころばせた。
「安打と四球は同じ」と捉え、粘っこい攻撃をすることは、チームの戦術の一つとなった。ここに破壊力が加われば……。21年の戦いは、期待感が高いものになっていく。
写真=BBM