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ソフトバンク・リチャード 周囲の助言でパワーアップ!?/飛躍の1年を誓う

 

支配下1年目の昨季は一軍デビューこそなかったものの、ウエスタン2冠に輝いたリチャード


 プロ入り4年目、支配下2年目を迎えた大砲候補・リチャードは、このオフもライバル球団・西武の主砲・山川穂高の下、共通の地元・沖縄で汗を流してきた。「悔しさを晴らせるように」。不完全燃焼に終わった「実質1年目」の雪辱へ、燃えている。

 昨春、船出から希望に満ちていた。キャンプで一軍に抜てきされ、オープン戦12試合で打率.273、2本塁打、4打点。育成同期の尾形崇斗とともに、開幕前に支配下登録を勝ち取った。オープン戦最後の広島戦を終え、福岡に戻る新幹線の車内で球団から吉報を受け取った。「尾形の後ろの席に座っていたら、あいつの電話が鳴った。自分も『もしかしたら』と思ってたら、かかってきて。とてもうれしくて……」。会見の席上で、興奮冷めやらぬ表情で明かしていた。

 コロナ禍に水を差された。先の見えない開幕で張り詰めた糸が緩み、コンディション維持に苦しんだ。夏場には罹患した長谷川勇也の濃厚接触者として隔離も経験。10・11月に7本塁打を放ってファーム月間MVPを獲得するなど終盤戦で大暴れして二軍で本塁打(12)、打点(47)の2冠に輝いたが、ファーム日本選手権は自身の2失策が敗戦に直結。一軍未昇格で乱高下のシーズンを終えた。

 その分、精神的にも技術的にも進歩した。まったくタイプの違う大先輩、左のヒットマン長谷川から「選球体」という考え方も教わった。「目で見るんじゃなくて、体で打ちにいって(ボール球は)やめる。体に任せた打ち方」が終盤の巻き返しの原動力だった。待望久しい右の大砲候補。38歳になる三塁・松田宣浩の後継者候補でもある。新任の小久保裕紀ヘッドコーチも「楽しみ。そこをどう引き上げるか」と注目する逸材。今年こそ一歩を刻む。

写真=湯浅芳昭
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