
まずは支配下復帰から
飛躍を狙ったプロ3年目は、苦しい1年となった。横浜商大から2018年ドラフト4位で入団した
渡邊佑樹。だが一軍登板は果たせず、オフには育成契約を結んだ。「とにかく一軍に定着できるように頑張りたい」と語っていた左腕にとっては、悔しさだけが残る20年シーズンとなった。
昨季は伊藤投手チーフコーチの指導の下、投球フォームを修正して挑んだ。「股関節をうまく使って投げられるように」と春季キャンプでは連日のように居残って意欲的に汗を流していた。
だが思うようにはいかなかった。二軍で22試合に登板し57回1/3を投げ、防御率4.55。42四球を与えるなど、課題の一つである制球が改善されなかった。オフに支配下から外れたのも、首脳陣から見ればやむを得ない判断だったろう。
ただ今季から監督も兼任する
石井一久GMの評価は決して低くはない。一軍登板は19年7月25日の
西武戦(
楽天生命パーク)のみ。プロ未勝利の左腕について「彼を一軍の戦力として求めたい」と潜在能力を高く評価していることを明かした。
伸び悩む渡邊佑に新指揮官が提案したのは、サイドスローへの挑戦だ。「面白い存在になる」とサイド左腕としての支配下復帰を要望した。かねてから「チームの力になれるように」と語っていた渡邊佑も、石井新監督の提案を受諾。キャンプ前から意欲的に調整を続けている。
21年1月には、昨季途中にトレードで
巨人へ移籍した高梨の合同自主トレに参加。面倒見のいいサイド左腕から、横手投げの極意を学んでいる。勝負のプロ4年目。まずは支配下復帰を果たして、念願のプロ1勝をつかみ取ってみせる。
写真=BBM