
プロ8年目で大役を任された石川。3月26日に向けて粛々と準備を進める
育成出身の右腕に今シーズンの第1球が託される。昨季、11勝を挙げて最多勝と勝率第一位の2冠を獲得した
石川柊太が、3月26日の
ロッテ戦(PayPayドーム)で開幕投手を務めることが決まった。開幕投手経験者の
千賀滉大、
東浜巨らが出遅れる中、キャンプインから順調な調整ぶりを見せてきた。「(
工藤公康監督に)呼ばれた時点では『あれ、何かやらかしたかな?』と思ったら、開幕投手でした。指名していただいてありがとうございますという感じで、実感は湧かなかったです」と笑った。
プロ入り8年目。初のタイトルも手にし、常勝軍団の中でも存在感は増している。今春のキャンプでは右打者に対し、得意のパワーカーブでのけぞらせる「フロントドア」を披露。「スピードアップ賞」を獲得したテンポの良い投球は健在だ。「みんながエースだし、みんなが開幕投手という自覚と責任があれば、みんなが質の高いピッチャーになる」。強力投手陣と切磋琢磨し、己を磨いている。
そんな姿を見た指揮官から大役を託された。工藤監督は「去年の投球やキャンプの状態も評価して、みんなで話して決めさせてもらった。開幕で投げ、1年間しっかり投げ切ってほしい」。開幕投手は独特の緊張感を味わうだけでなく、その後も先発ローテーションでエース級との対戦が続く。その中で白星を積み重ねることで、さらなる成長を期待される。
ただ、どんなマウンドでも石川の不動心は変わらない。「一試合一試合、常に責任を持っているので、開幕戦だからといって、いつもより気持ちを高めるとか、上げ幅があるわけではない。やれることをやるだけです」ときっぱり言い切った。リーグ連覇、そして5年連続の日本一に向けて、石川が最高の輝きを放つ。
写真=湯浅芳昭