
オープン戦に入っても牧のバットは止まらず、好調をキープ
存在感は確実に高まってきている。ドラフト2位ルーキーの
牧秀悟(中大)は新生ベイスターズを象徴する存在になるかも知れない。本職は二塁だが、打力を買われて、練習試合や実戦的な守備練習では一塁手で試される機会が増えている。
チームは新型コロナウイルスの影響により、正一塁手候補のソトや
オースティンら外国人選手の合流時期にまだめどが立っていない。オープン戦のアピール次第では球団の新人選手としては初となる、一塁手での開幕戦先発に抜てきされる可能性が浮上してきた。
評価を一気に高めたのが2月7日、沖縄・宜野湾の春季キャンプで初実戦として行われた紅白戦だ。牧は2回の“プロ初打席”で2年目左腕、
坂本裕哉の速球をとらえて左翼席に運んだ。さらに続く打席では四球を選んで選球眼の良さをアピール。次打者の右邪飛で二塁を陥れる好走塁も披露した。ファーム監督時代に中大と練習試合を行い、勝負強さを見てきた
三浦大輔監督を「打つだけの選手じゃないと分かった」とうならせた。一塁の練習を始めたのは2日後だった。
大学日本代表で四番を担ったスラッガーながら、練習試合では三浦監督が重視する犠牲バントもきっちり決め「大学3、4年のときはほとんどやっていないけれど、中大のチーム自体はバントをしっかりやるほうだったので」とさらり。
DeNAがドラフト会議で1位候補にも挙げた理由である、総合力の高さを遺憾なく発揮している。「まだまだ全然。周りに比べたら実力もないほうなので……」とどこまでも謙虚なルーキーが、大味なベイスターズ打線を変えるスパイスになるかもしれない。
写真=中島奈津子