試合中、ベンチで誰よりも大きな声で叫んでいるのがマーティンだ。
安田尚憲が打席に入れば、「ヤスダァァ~~」と声援を送る。本塁打を量産するだけではなく、チームの先頭に立って、ナインを鼓舞する。主砲であり、そしてムードメーカーでもあるのだ。
4月29日の
西武戦(メットライフ)でリーグトップを独走する10号アーチを放った。ベースを一周し、中継用のカメラに向かって力こぶをつくる。そんな「YES! マーティン!」ポーズもおなじみだ。
来日3年目。チームにとっては、あらゆる面で欠かせない存在となっている。昨季、不振で苦しんでいた安田はマーティンから試合後の居残り練習に誘われたことがある。その際には、「相手もプロ。自分が打てると信じなければ、打てる球も打てなくなる」とアドバイスされたという。メジャーで活躍した助っ人の言葉は、若手が多いチームにとっては何よりも貴重なのだ。
迫力満点のスイングが印象的だが、緻密な野球勘も持つ。
4月18日の
オリックス戦(京セラドーム)では、相手投手の制球が乱れていると察知すると、9回に押し出しを選んで決勝点を奪った。「打ちたい気持ちもあったが、相手投手は前の打者も四球で歩かせていた。自分の気持ちを抑えながら打席に入った」と振り返る。
チームが勝利を挙げるためには、どんなプレーをすればいいのか。そんなことを常に考えるのが、マーティンというプレーヤーなのだ。同じキューバ出身でアメリカの自宅も近所という
エチェバリアも一軍合流。マーティンの役割は、さらに増えそうだ。
写真=BBM