強打者たちの“攻略法”を知る男だ。FAで西武から巨人に移籍して3年目の炭谷銀仁朗。パ・リーグで13年間、打者を研究し続けてきた経験はやはり貴重だ。「パで長くやってきた経験を生かせれば。何でも力になりたい」と炭谷も語る。プロ16年目の頼もしい捕手が、2年ぶりに開催される交流戦のキーマンと言って差し支えないだろう。
移籍1年目の2019年は、
小林誠司、
大城卓三との併用で58試合の出場にとどまったものの、交流戦では11試合に出場。前年まで対戦していたパの打者を翻ろうするリードを披露した。6月13日の古巣・西武との一戦では、1点リードの4回にダメ押しの3ラン。西武の
辻発彦監督をして「あの3点がなかったら、(試合の行方は)まだ分からなかった。あれが全て」と言わしめた。それ以外でも打って、守っての活躍で、同年にチームが最後まで交流戦優勝を争い、3位に食い込む原動力となった。
今季は大城が正捕手として起用され、開幕から控えに甘んじた。ところが5月に入って大城の打撃が下降気味になるにつれて出番を増やしている。首脳陣の評価も高い巧みなリードに加え、5月は13試合出場で4打点を挙げるなど、バットでもアピールを続けている。
「2番手、3番手じゃなく、もう1度レギュラーをとるんだという強い気持ちでやっていきたい」とペナントレース開幕を前に語っていたベテラン。交流戦開幕カードはベンチスタートとなったが、まだ15試合を残す。その力が必要になるときが、必ず来る。
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