
今季は八番に座り、無類の勝負強さを発揮する
敬遠が得策だったかもしれない。6月6日の
ロッテ戦(横浜)は3対3で9回の攻撃を迎え、二死二塁の場面で八番・
大和に打席が回った。チーム最年長33歳のベテランは、シーズン打率は2割台前半ながらも交流戦に入って絶好調にある。ロッテ守護神である
益田直也の2球目のストレートを思い切りよく振り抜き、前進守備の左翼を越すサヨナラ打とした。
これが交流戦12試合を終えてチーム最多の12打点目。お立ち台では珍しく冗舌で「最近ちょっと得点圏で打ち過ぎているので。回ってくるなという自分と、回ってこいという自分との葛藤でした」と笑顔。恒例になりつつある、ベンチでの
田代富雄チーフ打撃コーチとの掛け合いは「今日は『決めてくれ』と言われた」と明かした。
阪神在籍時は小技の効く打者とのイメージを持たれていたが、ベイスターズ移籍後は
ラミレス前監督の起用法も相まってクラッチヒッターの資質が開化。2019年の交流戦では3日間で2度のサヨナラ打という離れ業を記録している。通算4本目のサヨナラ打で、今季の得点圏打率は.464に上昇。ベテランの活躍でチームの借金も徐々に減ってきた。
大和のプロ初のサヨナラ打は阪神時代の13年6月29日。故郷の鹿児島県鹿屋市から両親を含む大応援団がフェリーで甲子園に駆け付けた一戦で、9回に3安打目を放って決めている。守備職人が隠し持つ、ここ一番での勝負強さをパ・リーグ球団はもっと警戒すべきだった。
写真=大賀章好