
両手を上げて、自軍ベンチへガッツポーズする内川
苦しんでいたベテランが、満面の笑みで歓喜のウォーターシャワーを浴びた。7月9日の
広島戦(神宮)。3対3と同点の9回一死満塁から、代打で出場した
内川聖一が中前にサヨナラ打を放った。東京五輪の関係で9月11日まで本拠地が使用できなくなる中、前半戦最後の神宮3連戦初戦で、劇的な勝利。お立ち台では正直な思いを明かした。
「ここに立つ日がくるとは思ってもいなかったので、本当、うれしいだけですね。チームメート全員がベンチの一番前に立って応援してくれていたので『僕がやるしかない』と腹をくくって打席に入りましたし、打席の中で気持ちが悪くなるぐらい緊張しました」
みんなの思いをバットに乗せた。9回無死一、三塁からは
川端慎吾が同点の中前適時打。そこから
宮本丈の犠打、
塩見泰隆の申告敬遠での四球もあって巡ってきたチャンスだった。「何とかしようという思いが形にできているのが今のスワローズの強いところ。僕自身も何とか力になりたいと思ってずっとやっていました」。新天地では経験の少ない代打稼業を任されるが、試合前練習で外野をダッシュして運動量を調整するなど努力を重ね、経験に基づいた対応力を発揮し、劇的な一打につなげた。
開幕直後には新型コロナウイルスの陽性判定を受け、復帰後も上半身の張りで一時離脱するなど思うようなシーズンを送れていなかった内川。「何とか力になりたいという思いでここまでやってきて、やっと一つ力になれたかな」。後半戦も大一番で、そのバットに期待が懸かる。
写真=BBM