
二軍再調整となったスチュワートだが、再昇格に向け準備は怠らない
日本がドミニカ共和国との東京五輪開幕戦で劇的勝利を収めた7月28日、エキシビションマッチで静かに燃える右腕がいた。C.スチュワート・ジュニアが
DeNA戦(PayPayドーム)に先発。初回から最速156キロの直球を軸に2三振を奪い、三者凡退で切り抜けた。
MLB・ブレーブスから1巡目指名も契約で折り合わず、短大を経て鳴り物入りで入団した“元米ドライチ右腕”。来日3年目の今季は、4月中旬に一軍デビューを果たした。ただ、制球に課題もあって4試合のみで再びファームへ。それでも、ウエスタン・リーグでは前半戦9試合に登板し無傷の6勝、防御率1.02と無双の成績を残している。三軍が主戦場で先発修行も3、4回で球速が落ちて苦しげな表情を浮かべていた1年目の姿は、今は昔だ。
初出場となったフレッシュ球宴でも魅了した。若手の登竜門の舞台で、オール真っすぐの力勝負。先頭打者を3球三振に仕留めるなど、1回を無安打2奪三振、無失点。最速は153キロをマークし、全12球のうち10球が150キロ超えだった。スタンドから大きな拍手を受け「ファンが喜んでくれて良かった」とはにかんだ。
チームの外国人投手はL.
モイネロ、
N.マルティネス、
C.レイと主力クラスがそろう。だが
工藤公康監督は、東京五輪に出場する
千賀滉大、
マルティネスについて「(リーグ戦再開後)最初の1週間は難しいだろう」としており、スチュワートにとってはチャンス。エキシビションマッチを経て二軍再調整にはなったが、「準備だけはしてもらう」と指揮官。後半戦に向け、まだまだここからだ。
写真=湯浅芳昭