
前半戦離脱も、6年連続2ケタ勝利を挙げた千賀
剛球と宝刀で大きな1勝を挙げ、
千賀滉大が今季限りで退任した
工藤公康監督の恩に報いた。今季最終戦となった10月25日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)。自身にとって今季ラストイニングとなった6回も、最大の武器を駆使し強打者を封じた。先頭の
マーティンを追い込むと“お化けフォーク”を連投。際どいコースに2度バットは止まったが、最後は低めに154キロの直球を投げ込み、見逃し三振を奪った。
続く
レアードには初球からフォークを投げ込み、3球目のフォークで左飛に仕留めた。二死一塁から
安田尚憲には6球連続で直球を続け、最後は151キロで二ゴロ。工藤監督の「ラストゲーム」で、今季初めて160キロを記録するなど気迫を出し続けた。前半戦は左足首の故障で登板2試合に終わったが、この試合の勝利で福岡移転後ではチーム初となる6年連続2ケタ勝利を達成。工藤監督をエースとして支え続けた右腕が、名将の花道を飾った。
いまや「宝刀」となっている落差の大きいフォークは育成時代から高評価を受けていたが、工藤監督の下、才能は大きく開花した。4試合の登板に終わった2015年の秋季キャンプで、指揮官が直接厳しい体力強化メニューを課す『工藤塾』入り。先発本格転向の強い決意から、猛練習に耐え抜いた。「本当に懐かしい」。16年に12勝。17年からはパでは初となる4年連続日本シリーズ“開幕投手”も務め、工藤監督の5度の日本一に貢献した。「(15年の)秋に苦しい思いもしてもらいましたけど、僕がいた時期を支えてもらった」。稀代の名将は、そう千賀に心からの感謝を示す。
写真=小山真司