
重要局面を担う右腕だ
まさに安定感抜群の投球だった。5月24日の
阪神戦(甲子園)。1点ビハインドの7回、二番手としてマウンドに上がったのは
安楽智大だった。
先頭の
糸原健斗は147キロの直球で左飛、続く
坂本誠志郎も148キロ直球で中飛。代打・
高山俊には1ボールの後、3球連続で真っすぐを投じて中飛に封じた。チームは敗れたが、1回をピシャリと抑えた。6月7日現在、中継ぎで23試合に登板し4勝1敗1セーブ、9ホールド、防御率3.27。リリーフ陣の柱の1人として、勝ちパターンの一翼を担う。ただ、道のりは平たんではなかった。
今季初登板となった3月27日の
ロッテ戦(
楽天生命パーク)は8回に三番手で登板し4失点。チームは延長11回、6対5でサヨナラ勝ちを収めたが、6回1失点で勝利投手の権利を得てマウンドを降りた
岸孝之の今季初白星を消す形に。「全然切り替えができなかった」と落ち込んだ。
それでも、仲間から「愛のあるいじり」を受け、前を向けたという。「岸さん、大地(
鈴木大地)さん、将大(
田中将大)さん。みんながいじってくださった。やりやすい環境を作ってもらった。野球で負った傷は野球でしか癒やさない」。打者との勝負に集中し、同ロッテ戦以降の6試合では計6回を投げ無失点と立ち直った。
ここまで手応えを感じている球は直球とチェンジアップ。
石井一久GM兼任監督からも「昨年の経験が生きている」と信頼されているが、右腕は「もっともっと改善するところはある」と意気込む。強力な中継ぎ陣の形成に向け、さらなる成長を目指す。
写真=BBM