しっかりと治してほしい。でも、一日でも早く……。チームも、ファンも、そして本人も同じ葛藤を抱えてきた。攻守の要、坂本勇人の離脱は1カ月以上に及んだ。
「もう、ここまで時間ももらっちゃっていますし、中途半端にだけは戻りたくはない。自分の中で『いけるな』という状況になってから。焦りながらも慎重に、と思っています」
4月30日の
阪神戦(東京ドーム)の守備で、二遊間への打球を処理した際に、地面についた右ヒザを負傷した。「内側側副じん帯損傷」と診断され、翌5月1日に出場選手登録を抹消された。
リハビリは歩行からスタートし、5月25日に三軍戦でDHとして実戦復帰。その後もファームで試合には出ても、「一軍のショートのポジションで動けるにはまだ少しかかる」と、守備には就かなかった。横方向への動きが万全ではなく、練習で少しずつ強度を上げている状態だったからだ。
原辰徳監督も「デイ・バイ・デイでしょう。焦ることなく。大事なポジション、(故障したのが)大事な箇所ではあるわけですから」と完全復活に期待しながらも慎重な言葉を口にしていた。坂本不在の遊撃には20歳の
中山礼都の起用が続けられていたが、打率は2割前後に低迷するなど苦しみ、やはり主将不在の大きな穴を感じさせていた。
一方で「この期間中に、違う部分で鍛えられる部分は鍛えている」としっかり「進化」もたくらんでいた坂本が、ようやく二軍戦で守備に就いたのは6月7日のイースタン・
ロッテ戦(ジャイアンツ)。そこから一気に状態を上げ、6月9日に40日ぶりの一軍合流。さっそく
西武戦(ベルーナ)に五番・遊撃でスタメン出場を果たし、先制の左前適時打を含む3安打を放って勝利に貢献。笑顔を見せた。
待望の主将の帰還。不在の間、チームの状態はなかなか上向かなかった。キャプテンの復活とともに、再びチームは進撃を開始するはずだ。
写真=BBM