
マウンドに上がるだけで球場の雰囲気を変えられるだけに阪神の今後の反撃には、やはりこの男の活躍が必要だ
藤浪晋太郎が甲子園を沸かせた。一軍に復帰した5月31日の交流戦での
西武戦。9回に四番手リリーフで登場すると、2点ビハインドにもかかわらず異様な盛り上がりをみせた。
最速158キロのストレートにスライダーなどを駆使してなんとかゼロに抑えた。「投球自体はあまり良くなかったが(長坂)拳弥にも助けられました」。
一軍マウンドに立つのは4月8日の
広島戦(甲子園)以来。チームは敗れたが、空気を変えることのできる存在であることはあらためて証明された。
プロ10年目の区切りのシーズンは、青柳のコロナ感染で2年連続開幕投手の大役が回ってきた。そこから3試合先発した後の4月中旬に本人も新型コロナへの感染が確認された。
シーズン前の藤浪は「想定外のこともあるでしょうが、粘り強く投げていけば流れを引き込めるはず」と語ったが、まさに想定外のことが起きた。
一軍では、今季は先発で勝負と決めていたが、中継ぎ要員として期待され、その決断を自ら下した右腕に矢野監督は「上の先発がいいのでチャンスがなかった。1つのピースとしてはまってくれれば」と期待した。
もちろんムードを変える存在感だけで居座ることはできない。2020年から中継ぎの機会が多くなって、昨シーズンは3勝止まり。
藤浪は「勝ってこそ結果で証明する世界。優勝していい野球ができたと証明したい」とも決意を語っていた。ファンもその言葉を信じている。
写真=BBM