
「ジョーカー」として快進撃を続ける牧原大
チームが誇るユーティリティーといえば
牧原大成だ。今季から就任した
藤本博史監督が名付けた「ジョーカー」というあだ名も、今やファンに浸透しつつある。今季はまさに切り札的活躍で、規定打席には到達していないものの打率は3割を超えており、交流戦に限っては.383。チャンスに強い打撃を幾度も披露するだけでなく、特筆すべきは守備力で、今季はすでに二塁、三塁、遊撃、中堅の4ポジションで出場。攻守でチームを支える戦力となっている。
育成ドラフト5位で2011年に入団。今では同期の
千賀滉大、
甲斐拓也とともに「育成のホークス」の象徴的存在だ。これまで投手、捕手以外の全ポジションで出場経験があり、19年にはポストシーズンに向けた有事の備えの一環で“第3捕手”としてスタンバイしたこともあった。どこでも守れる万能性は大きな強みである一方、牧原大自身は「いろんなポジションで出場するということは、一つのポジションでレギュラーを獲れてないということ。今年こそはセカンドを取りにいく気持ちでいきたい」と、脱ユーティリティーを今季の目標に掲げたりもしていた。
レギュラーの固定を理想に掲げる藤本監督だが、どの打順や守備位置でも高パフォーマンスを見せ続ける牧原大の扱いは特別だ。「打ってよし、走ってよし、守ってよし。こっちは『ジョーカー』と言っているけど、ここまでレギュラー以上の仕事をしてくれている」。チームの悲願であるリーグ優勝と日本一奪還に向け、プロ入り12年目の“キングジョーカー”の存在は欠かせない。
写真=湯浅芳昭