
昨季の不振を繰り返さないために準備を怠らなかった増田
7月12日現在(以下同)、
西武のチーム防御率は12球団トップの2.44、さらに救援防御率は1.60とダントツ1位の数字を誇っている。
辻発彦監督体制になってから6シーズン、2018年、19年の優勝時が象徴的であったように、その強力打線から常に「打のチーム」と表現されてきた。だが、今季に限っては真逆。捕手・
森友哉をはじめ多くの投手陣が何年も前から「ピッチャー(バッテリー)で勝ったと言える試合を増やしたい」と意識してきたことがようやく現実のものとなった。
その中で、圧巻の安定感を保ち続けているのが
増田達至だ。ここまで33試合に登板し、失点、自責ともわずか「4」。防御率1.09と勝ちゲームを締めくくる守護神として申し分ない成績を残している。決して走者を出さないわけではない。時には得点圏に走者を背負う大ピンチに見舞われることもあった。それでもきっちりと無失点で切り抜けてきた。
この盤石ぶりには、実は確固とした要因がある。今季、増田は試合前の全体練習メニューをすべてこなしたあと、ホームゲーム時は必ずブルペンに行き、ボールをタオルに持ち替えてのシャドウピッチングを欠かさない。状態が良い、悪いではなく、自身の感覚を確認するために「やっておきたい」から。そこには昨季の不振により、「この1試合を失敗すれば、配置転換、ファーム落ち」という危機感が常に隣り合わせだからだ。絶対的守護神という地位を確立してなお、若手以上のぬかりなき準備と向上心は、投手に限らず、まさにチームの手本と言えよう。
13日に新型コロナウイルス感染が判明して戦線離脱したが、優勝に向けて後半戦も増田の力が欠かせないのは間違いない。
写真=BBM