
現在29盗塁でリーグトップを走る近本
堂々の宣言だ。
「勝つために打ちますし、勝つために走ります」
攻守走三拍子そろったプレーを見せてきた
近本光司の短い言葉に「フォア・ザ・チーム」の姿勢が集約されている。
ここに来ての打って、走って、守ってのプレーは、さらに集中力が増している。近本が盗塁王争いに参戦するのはプロ入りして毎年のことだ。そして今シーズンは2年ぶりのタイトル獲得に近付いている。チームとしては残念ながら今年もまたV逸したが、上位争いに加わった要因の一つは、近本の足を中心とした機動力野球だ。
そもそも打撃に関してはスロースターター。盗塁に関しても今シーズンの初盗塁は15試合目の4月12日の
中日戦(バンテリン)。そこからギアを上げてきた。ルーキーイヤーから2年連続盗塁王に輝くなど俊足ぶりをアピールし続け、5月22日の
巨人戦(甲子園)では通算100盗塁を達成。そして、盗塁のペースが上昇してきたのは、4割超の出塁率をマークし始めた7月ごろからだ。
7月17日の中日戦(甲子園)の1回一死一、三塁、打者
ロハス・ジュニアの2球目に一塁走者の
佐藤輝明がスタート。三塁から近本ならではの本盗を決めてダブルスチールを完成させた。特に盗塁を含めて、近本が走塁面で長けているのは加速力だろう。アマチュア時代から鍛えた「脚の回転の速さ」はプロでも武器になっている。
本人は「落ち着いて走れる半面、思い切りとか、勇気とかは薄くなっている」と自己分析。本人の謙そんはさておき、まだまだスピードは衰え知らずだ。
写真=BBM