
来日1年目の今季、2ケタ勝利をマークしたエンス
新型コロナ禍の影響で来日が遅れ、初登板は4月10日となったディートリック・エンス。その試合が7連敗中だったチームの連敗を止める結果となり、瞬く間に“救世主”として信頼を得た。その後、先発ローテーションの一角に加わると、テンポよく投げ、打たせてアウトを積み重ねるスタイルで試合をつくり、ほぼシーズンを通して先発ローテを守り抜いた。
チーム2位の22試合に先発登板。
高橋光成に次ぐチーム2位タイの10勝を挙げ、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく貢献した。チームで外国人投手が2ケタ勝利をマークするのは2019年の
ザック・ニール以来3年ぶりだけに、球団にとっても大きな収穫となった。
成績はもちろんだが、人間性でも非常に評判がいい。来日直後に覚えたお気に入りの日本語を尋ねられると「『高田馬場』の発音が気に入った」と、報道陣の笑いを誘った。以降も、少しでも早く日本になじみたいと積極的に日本語や日本の環境、文化に触れてきた。大阪遠征では「おおきに」、福岡遠征では「(ラーメンの麺の)バリカタ」など、その土地にちなんだワードをチームメートから教えてもらい、楽しみながら知識を広げていった。
また、愛妻とも機会を見つけては観光に訪れ、初めての日本を満喫したという。異国の地で成功するための秘訣は、その国の言葉や風習を習得することだと言われる。その意味でも、エンスは期待値を十分以上に超える存在であったといっていいだろう。
球団は来季の残留要請を行う方向だという。23年もテンポの良い投球が大いに期待される。
写真=BBM