開幕から「8回の男」として救援で33試合に登板したビドルが、一気に生まれ変わった。
8月14日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)で来日初の先発マウンドへ。合言葉は「ビドル80パーセント」だった。2015年以来、自身7年ぶりの先発登板で5回を65球、2安打無失点の好投を披露し、今季4勝目をつかんだ。
「(先発を通達され)本当、正直、何が起こったか分からない感じだった。今日、5回しか投げてないけど、完投した気分でした」
先発を伝えられたのは「2週間前の立川」だったと後に明かした。確かに、試合前練習でユニフォームを着たビドルが熱心にブルペンで投球練習を行い、8月3日に出場選手登録を抹消されていた。
リリーフで1点勝負のマウンドに慣れ「今まではとにかく全力。全力、全力で良い投球をすることしか考えてなかった」からこそ、先発マウンドへの合言葉は「80パーセント」だった。
「毎イニング投げ終わる度に、高山(郁夫)投手コーチから『80パーセント』と言われ続けてきた」とおどけた。
先発適性を見抜き、配置転換のカジを切った
中嶋聡監督は「力感が取れたらすごく良いなと思っていた」と“中嶋マジック”の意図を明かした。先発起用されていた
ワゲスパックがシーズン中盤以降に救援で好仕事を果たしており「助っ人シャッフル」を成功させた。
チームではエース・
山本由伸、昨季の新人王・
宮城大弥、左腕の
田嶋大樹、
山崎福也、昨季の故障から復活した
山岡泰輔ら、5投手が先発ローテーションを守ったが、六番手は定まらず。ビドルが先発スタッフとして奮闘できれば、ポストシーズンでも面白い存在になる。
写真=BBM