
扇の要を目指す
照明のカクテル光線に照らされる中、
堀内謙伍が正確な送球を披露し続けた。秋季練習での捕手の居残り練習。左打者を立たせた状態で二塁への送球タイムは1秒71。右打者を立たせた状態で同1秒76。手動計測のため多少の誤差はあるかもしれないが、堀内が見せた二塁まで矢のような送球。捕球から送球まで、流れるような動きが光った。
7年目の今季は、不本意な結果に終わった。開幕こそ一軍で迎えたものの、たった5試合の出場に終わり1打数無安打。
炭谷銀仁朗、
太田光に次ぐ第3捕手として期待されたが、出場機会をつかむことはできなかった。「悔しい1年でした」と悔しさをにじませた。
今季、捕手ではチーム最多となる98試合に出場した炭谷は、来年36歳を迎える。
石井一久GM兼任監督は経験豊富なベテランを評価する一方で、若手の台頭を望む。期待がかかる一人が堀内だ。秋季練習では守備練習はもちろん、懸命にバットを振り込んだ。「捕手としては守れないとダメだと思うので、守れてプラスアルファで打てるようにやっていきたい」と闘志を燃やす。
8年目を迎える来季は、第3捕手の立場に甘んじるつもりはない。2019年には自己最多の65試合に出場した堀内は「銀仁朗さんの経験と首脳陣の信頼がすごい。そこを今すぐ埋めるというのは無理だと思うので、銀仁朗さんにないフレッシュで、元気で熱いプレーを出していければ」と意気込んだ。課題である打撃はもちろん、守備やリードでも磨きをかけ、正捕手奪取を狙う。
写真=BBM