
4月12日のヤクルト戦で今季1号を放った牧
気持ちの切り替えに時間はかからなかった。
「ベイスターズでも優勝して、ああいうふうにみんなで分かち合いたいとすごく思いました。今年は優勝します」
WBCで世界一を奪還した侍ジャパン。帰国から3日後の3月26日、
牧秀悟が力強く決意表明した。同日のオープン戦最終戦(
西武戦・ベルーナ)に出場はしなかったが、チームへ合流。
三浦大輔監督の信頼も揺るぎなく「今年も四番で行きます」と2年連続で大役を務めることも決まった。
常に明るく、すがすがしかった。日本代表でもスタイルは変わらなかった。「こんな最高のメンバーでやるの、あと4試合しかないです」と声出しを担当したのが、3月12日の1次ラウンド・オーストラリア戦(東京ドーム)。前日のチェコ戦で2号ソロを放ちながら、牧自身はベンチスタートだった。悔しさはおくびにも出さず「スタートの人たち、存分に暴れてきてください。あとから行く人たち、もう準備できています。いつでも大丈夫です!」と全員を鼓舞。同じ二塁の
山田哲人(ヤクルト)が打てば誰よりも喜び、コミカルなダンスや変顔でも仲間から愛された。
「こういう場所でいろんな人と話して、引き出しを増やさないといけない」
WBCは6試合で打率.200、2本塁打2打点の活躍。「いい場面で『デスターシャ』をやりたい」と個人目標は達成し、
ダルビッシュ有(パドレス)や
大谷翔平(エンゼルス)らからも吸収できた。心技体で間違いなくレベルを上げ、1998年以来の頂点を目指すプロ3年目。世界一のムードメーカーが中心にいる。
写真=矢野寿明