
今季は打率も思うように上がっていかない佐藤輝
首位争いから抜け出すのに得点力アップは急務になっている。投手陣のレベルが高いだけになおさらだ。そこでクローズアップされるのが
佐藤輝明の存在だ。
2年ぶりのファーム行きから一軍昇格したのは7月5日。
近本光司が右肋骨骨折で離脱したことで、二軍でプレーしていた佐藤輝にお呼びが掛かった。
平田勝男ヘッドコーチも未完の大器の二軍落ちには「初心に帰ってやってこいということだろう」と厳しい見方をしていた。
ファームで5試合に出場した佐藤輝も「プレー以外のことを見つめ直してしっかりやりたい」と気を引き締め直して再出発を図った。昨季までも好不調の波はあったが、3年目の今シーズンはなかなか好調も持続できないでいる。開幕前に「しっかり得点を稼ぎたい」と語っていたが、その誓いを果たせないでいた。
大砲ぶりは影を潜めた。6月16日の
ソフトバンク戦(甲子園)で
和田毅から放った9号2ランは実に95打席ぶりだった。17日の
中日戦(甲子園)で10号。新人から3年連続2ケタをマークしたのは
田淵幸一、
岡田彰布に続く快挙だが物足りない。
昨シーズンは三塁、右翼を守ったが、今季は三塁一本になった。打撃フォーム改良を加えたキャンプ終了時も「100点でいい」と手応えをつかんだはずだった。四番・
大山悠輔が好調維持を続けるだけに、その後ろに起用される佐藤輝のバットは得点力のカギを握る。岡田監督が厳しく結果を求めるのも期待の裏返しでもある。
佐藤輝は「アレに向かってば頑張ります」と口グセのように繰り返す。後半戦のカギを握る男の巻き返しがチームの行方を左右するだろう。
写真=BBM