
試合出場はかなわなかったが、一軍を経験できたことは大きかった
松尾汐恩にとって濃密な2日間だった。
「ここを目指して、ずっとやってきました」
6月23日の
阪神戦。本拠地・横浜スタジアムの試合前練習にその姿があった。高卒1年目の新人捕手としては、大抜てきと言える一軍初昇格。「チャンスをもらったときは、しっかりアピールしたい。ずっと一軍にいられるように頑張っていきたい」と声を弾ませた。
出場することなく同25日に出場選手登録を抹消されたが、ベンチからの光景はまぶしかった。首位攻防戦の緊張感。初戦はエース・
今永昇太が1失点完投勝利を収め、翌日も同じ左腕・
東克樹の完封劇に沸いた。リードした
戸柱恭孝、
山本祐大ら先輩捕手の動きや配球も勉強したはず。
三浦大輔監督も「こういう機会に経験するということも含めて(一軍に)呼びました」とその狙いを明かしている。
「打って守れる捕手になりたい。トリプルスリーを目標にやっていきたい」
大阪桐蔭高から昨年のドラフトで1位指名。高校通算38本塁打の打力と50メートル走6秒2の快足を持ち合わせ、捕手では史上初となる快挙を視野に入れた。過去に
石井琢朗(現チーフ打撃コーチ)らが着けた背番号「5」は期待の表れ。2月の沖縄・宜野湾キャンプでも一軍の空気を吸い、成長につなげた。
8月3日現在、イースタン・リーグでは72試合に出場し、打率.269、4本塁打、30打点の好成績。7月18日に行われたフレッシュオールスターでも、初回に阪神・
門別啓人の初球を左前に運んだ。攻守走、すべてで伸びしろしかない19歳。デビューはもちろん、通過点に過ぎない。
写真=BBM