一軍合流まで時間のかかった末包だが、首位を追走すべく、その打棒を発揮する
打球はマツダ
広島の逆方向の一番深い右中間席に飛び込んだ。7月26日の
ヤクルト戦で2点を追う4回、
末包昇大が放った逆転の決勝2号3ラン。チームに9連勝をもたらし、2年目の同期左腕・
森翔平に3勝目をプレゼント。2人そろったお立ち台で「新鮮でうれしい」と笑顔を弾けさせた。
2戦連続のスタメン起用の期待に応える、持ち味の詰まった一撃だった。
新井貴浩監督は「なかなか、あの深いところに本塁打を打てる打者というのは少ない。そこが彼の一番の魅力だと思う」と称賛。交流戦終盤に今季初めて一軍昇格してから満足のいく結果は残せていなかっただけに、「ラストチャンスだと思っていた」という大砲候補にとって一軍生き残りにもアピールの一発となった。
ルーキーの昨季は新人で球団64年ぶりの開幕戦猛打賞の鮮烈デビュー。5月には球団新人30年ぶり満塁本塁打も放つも、出場31試合にとどまった。2年目は開幕直前に二軍降格。「3人で競い合っていた」という
林晃汰、さらには5月に支配下登録された4歳年下のルーキー・
中村貴浩の一軍昇格を、悔しい気持ちで見送った。もう二軍に戻るわけにはいかない。
2022年ドラフト6位で、同年の最年長新人として大阪ガスから入団。今年5月には27歳となった。2年目ながら、プロ野球界で決して若いとは言えない。「次に打席を与えたくなるような、そういう内容をずっと続けていかないといけない」。最後まで一軍にしがみつき、上位争いを繰り広げるチームの中で爪痕を残してみせる。
写真=BBM