
苦しいスタートから軌道修正しキャリアハイの投球回を見据える
上沢直之は3年連続で投球回が150を突破した。9月1日の
オリックス戦(エスコンF)で今季2度目の完封勝利を挙げ、この時点でチームメートの
加藤貴之を抜いて152回1/3としてリーグトップに立った。キャリアハイは2018年シーズンに記録した165回1/3。最終的には「180(回)近くには、持っていきたい」と見据えている。
パ・リーグでも屈指のタフネスぶりだ。上沢以外に昨季まで2年連続で150投球回をマークしているのはオリックス・
山本由伸と
西武・
高橋光成、
楽天・
田中将大の3人だけ。毎シーズン、各チームが攻略しようと研究してくる中で、それを上回る実力と対策、そしてシーズン途中で離脱しない体の強さを兼ね備えているからこそ、勝てるイニングイーターとなれる。
今季は苦しいスタートだった。今季初先発となった4月1日の楽天戦(エスコンF)では自己ワーストの1試合7四球を記録し、5回で降板。4月15日の西武戦(エスコンF)では5回1/3を自己ワーストの9失点(自責点8)と乱れた。この時期は「こんなにストライクが入らない経験がない。記憶がある中で一番良くない」と苦悩の日々が続いた。
それでも先発ローテを外れることはなかった。
新庄剛志監督も「彼は頭の良い人間。必ず修正する」と信じて起用を続けるなど、チーム全体からの全幅の信頼に応えて、上沢も登板を重ねるごとに内容を向上させた。チームの順位と比例しないのが寂しいところだが、防御率も2年ぶりの2点台が見えるなど今季も素晴らしい成績が残りそうだ。
写真=BBM