
今季は安定感抜群のピッチングを見せた村上
新人時代の
村上頌樹は、プロ初登板、初先発のマウンドで洗礼を浴びている。2021年5月31日の
西武戦(メットライフ)でドラフト5位右腕は3回もたず3四球の5失点でKOされたのだ。
この試合でプロ初勝利を挙げたのが2020年ドラフト3位入団の
及川雅貴だった。早々と降板した村上に
矢野燿大前監督は「何かが足りない。下に行けばそれが見えてくるかもしれない」とフォローしたものだ。
あれから2年がたった。3年目のシーズンを迎えた村上は、18年ぶりの優勝を支える原動力になるまでに成長した。2年間で0勝だった右腕が、最優秀防御率のタイトルを獲得するまでになった。
「防御率のタイトルは目標にしていました。まさかこんなふうになるとは思っていなかったので、うれしいです」
4月22日の
中日戦(バンテリン)で9回を完封しプロ初勝利を挙げると、シーズンを通して先発ローテーションを守り続け「今年はいろいろ成長させてもらった」と自信をつけた。
苦い思い出のあるデビュー戦で四球から崩れた村上が、抜群の制球力を見せつけた。22試合登板で与四球はわずか15個。9月は4試合に投げたが0四球で乗り切ったのは急成長の証しでもあった。
「CSに向けてしっかりと課題をつぶしていきたい。そしてこの経験を自信に、来年またやっていきたい」
10月18日、
広島とのCSファイナルステージ初戦(甲子園)では6回3安打1失点で勝利を手にした。
村山実、
小山正明らレジェンドにたとえられるほどの快投を見せた村上が、悲願の日本一に挑戦する。
写真=BBM