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巨人・戸郷翔征 観衆を沸かせるタフネス/これぞプロの技

 


 東京ドームの大観衆の心を震わせた“魂の3球”だった。8月3日のヤクルト戦の戸郷翔征はプロの、そしてエースのすごみを見せつけた。

「今日は最後まで球速が落ちず、150キロを連発できた。何年ぶりかってくらい状態がよかった。中継ぎの方々を休ませられたことが一番」と自らも驚くほど圧巻の投球だった。

 8回を投げ終えた時点で、すでに球数は「127」を数えていた。その裏の攻撃で主砲、岡本和の勝ち越しソロによって勝ち投手の権利を手にしたが、投手主将は志願して9回のマウンドへ向かった。

 観客の度肝を抜いたのが、無死一、二塁のピンチでのサンタナとの勝負だ。150キロの直球を3球連続で外角低めいっぱいへズバズバと決め、一度もバットを振らせず3球三振。「しびれました。三振を取ることを意識しました」と振り返ったこのアウトで勢いづき、後続2者も打ち取った。守備中では異例の“戸郷コール”が大音量で響き渡る中、自己最多となる149球で1失点完投、2年連続の2ケタ勝利を飾った。

 侍ジャパンでWBC優勝を経験して迎えたプロ5年目は12勝5敗、防御率2.38。名実ともにエースとなった。投手の球数管理、役割分担が主流になった現代において、140球を超えても涼しい顔で150キロ台を連発するタフネスぶりが戸郷の魅力だ。阿部慎之助新監督のもとで臨む来季も、熱投でチームを導く。

写真=BBM
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