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先発転向1年目に11勝をマークした平良
“陰の”と表現するにはあまりにも不相応だが、チーム内には投球回数、防御率で上回る
高橋光成の存在がいるだけに、あえて、“次点の”という意味合いで、“陰の”と捉える。
2020年から勝ちパターンの一角を担い、絶対的なセットアッパーに君臨。昨季は最優秀中継ぎのタイトルに輝き、
増田達至の後を継ぐ次期守護神との期待も大きかった
平良海馬。だが、一方で、本人には早い段階から「先発でやりたい」との思いが強く、昨オフに「もっと長い回を投げることでチームに貢献したい」と先発転向を直談判し、ついに認められた。
とはいえ、平良にとってプロでの先発はほぼ初めての挑戦だ。自身の中でも「本当に長い回を投げられるのか?」「回またぎは? 球速は落ちないか?」など、多少の懸案事項はあったという。だが、開幕から先発ローテーションに入ると、毎試合6イニング以上はほぼ確実に投げ、チームに貢献した。安定感も抜群で、防御率も常にリーグ上位に位置していた。8月25日の
日本ハム戦(ベルーナ)では、8回3安打無失点の好投を披露し、先発転向が決して間違ってはいなかったことをはっきりと証明した。
途中、「次のイニングに行ったときの先頭打者に対して、球威が落ちがちだった」ことや、疲労回復方法について手探りだった部分など、課題に直面することもあったが、都度、乗り越え、チームトップの11勝をマーク。完全に“先発の柱・平良海馬”としての地位を確立したのだった。
同じく2ケタ勝利を挙げた高橋、
今井達也とともに、来季はチームの看板としてさらなる活躍が期待される。
写真=BBM