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今季は自己最多の10勝をマークした今井
規定投球回数には10イニング及ばなかったが、自身としてはキャリア最多の10勝をマークした。チーム最多の貯金5つを作り、飛躍の1年となったと言えよう。
ただ、投手にとって勝敗ばかりは自分でコントロールできない部分も多い。そのため、
今井達也本人も常々「勝ち星はまったく気にしていない」と断言する。とはいえ、貯金を作れる投手がチームにとっていかに重要かは言うまでもないだろう。
勝敗へのこだわりはない中でも、今井は自身の成長を目指し、常に高い意識で日々の練習、試合登板に挑み続けてきた。昨年の途中から本格的に固め始めた投球フォームを今季は一度もブレることなく遂行。これまで、器用すぎるあまり二転三転してきた“原点”がついに固まった。制球力などまだまだ課題はある中でも、クオリティスタート率は84.2パーセント(19先発試合中16試合)と、チーム内ではダントツだ。
そして、今井が貯金王であるゆえんは、その上の7回以上を自責点2以内のハイクオリティスタート(HQS)を毎試合自らのノルマに課しているからに他ならない。「HQSであれば、誰も何も言わないと思うので、毎試合、まずはそこを目指しています。それに、たとえ早い回に失点しても、2失点以内なら、『7回までこのまま0だったらHQSだから』と気持ちを切り替えて投げられるので」と、自身の最低ラインに据えてきた。そして実際、HQS率は73.7パーセント(19試合先発中14試合)を誇る。
「良いときに抑えるのは当たり前。そうではなくて、状態がイマイチの時に最低限どれぐらいの仕事をできるかが大事だと、僕は思っています」と背番号48。さらなる成長を目指し、今冬はアメリカに身を置き五感から研ぎ澄ます。
写真=BBM