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広島・中村健人 自ら名乗り出た一塁挑戦 「ほかの選手より優位に立てる」/ユーティリティーの極意

 

出場機会を増やして打撃でアピールしたい


 内外野を守れる存在は貴重だ。チームで数少ないながら、中村健人もその一人。外野を本職に内野は一塁だけ。それでも首脳陣の選択肢は増える。チームが得点力不足にあえぐさなかの5月8日の阪神戦(甲子園)では、プロ初めて一塁でスタメン出場。第1打席で好左腕・大竹耕太郎から、1年目だった2022年7月17日の巨人戦(東京ドーム)以来、2年ぶりの一発。「最高の結果」で期待に応えた。

 一塁挑戦は、自ら名乗り出た。一軍出場なしに終わった2年目の昨季途中、末包昇大林晃汰が同時に一軍昇格した時期があった。「二軍でファーストが足りなくなると思ったときに『やりたいです』と。試合に出られるチャンスがあるのなら、とにかく試合に出たいので『できます』と言いました」。慶大時代に経験はあったとはいえ、出場機会を増やす可能性を広げるチャンスにかけた。

 5月に入り、昨季は内外野6ポジション、今季も三塁、左翼、中堅をこなした上本崇司が左半膜様筋筋損傷で離脱。新井貴浩監督が「唯一無二の存在」と称するユーティリティープレーヤーの代役は簡単に務まるものではない。だが、上本の代わりに一軍昇格をつかみ取ったのは二軍打率.291と好調だった打撃に加え、複数ポジションを守れたからこそ。

 もちろん、外野へのこだわりはある。「ほかの選手より優位に立てると思う」と自信もある。実際、今季初スタメンの5月3日の本拠・DeNA戦では左翼で好守を連発。「守れるからこそ、余分に1打席もらえることもあると思う。打席をもらうためにも、一塁のチャレンジは大きいと思う」。がむしゃらに、このチャンスをつかみ取る。

写真=BBM
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