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DeNA・中川颯 求められた役割でフル回転するアンダースロー/ユーティリティーの極意

 

力のあるボールを投げ込むアンダースローだ


 輝ける場所を見つけた。中川颯は自力で、目指すカムバック劇の土台をつくった。「ベイスターズのユニフォームを着て野球をすることが、幼いころからの夢だった。優勝に貢献できるように頑張りたい」と決意したのが昨年11月。オリックスを戦力外となり、DeNAが手を差しのべてくれた。育成選手ではなく、支配下としての契約。「去年の自分からすれば、今の状況は考えられなかった」と充実の毎日を過ごしている。

 5月20日現在、8試合で2勝0敗、防御率5.04の成績を残している。開幕先発ローテーションに入り、2試合に登板。4月30日の中日戦(バンテリン)ではプロ初勝利を挙げた。「つらくて苦しい経験が多かったけど、まずは1勝できて良かったです」。過去3年間で一軍登板は2021年の1試合だけ。「拾っていただいた恩を、少しずつ返していきたい」と立ち止まることはなかった。

 オリックス時代は右肩を痛め、背番号も37から123に変わった苦しい時期も経験してきた。そこから野球ができる喜びを再確認させてくれたのもDeNAだった。4度のリリーフ起用にも応え、4月10日の中日戦(横浜)では4回から5イニングを1失点。以降の3登板はすべて2回を投げ、展開に関わらず黙々と右腕を振った。5月11日の阪神戦(横浜)は先発で3回10安打9失点と炎上したが、18日の中日戦(横浜)は6回2失点で2勝目。プロ初本塁打もかっ飛ばした。

 球界でも希少なアンダースロー。「自分の武器を分かった上で、丁寧にうまく攻めてくれている」と三浦大輔監督からの信頼度も上昇中だ。地元・神奈川出身で、チームが最後に優勝した1998年生まれ。求められた役割でフル回転する。

写真=BBM
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