結局、竜のキーマンは高橋周平なのか。チームが開幕戦直後から首位に立ったのは背番号3の奮闘があったからだ。
4月中旬に右ふくらはぎの肉離れをしてチームは低迷。交流戦序盤をひとつのメドにして、一軍昇格をにらむ。守り勝つ野球の旗頭として復帰が臨まれる。
唯一のフルイニング出場に加えて、チーム最多安打の離脱だった。悪夢は4月16日の本拠地
ヤクルト戦。三塁から遊撃よりの打球を追って捕球、打球との間を探るために右足を引いて踏ん張った。
「やった、という感覚がありました」。右足を引きずりながら、そのまま離脱。病院で診断を受けた。
二軍実戦復帰の目途は1カ月。逆算して5月12日には復帰プログラムの最終段階に入った。母の日だったこの日、ピンク色のスパイクを履いてナゴヤ球場の一塁ベースからリードをとる。スタートを切り、二塁ベースを踏み締めて三塁を狙う。負傷後、初めてスパイクを履いてのベースランニングだった。
「100%で走りました。今日、べーランする計画で、その通りですよ」と口にした。フリー打撃では柵越えして「おおっ!」と大声を出した。周平スマイルはリラックスの証拠だった。
「あとはリアクションです。とっさの動きをやって問題がないかどうか。体に『動いて大丈夫だ』と思わせる時間だ必要だと思います」
立浪和義監督は守り勝つ野球を掲げる。守乱で試合の主導権を渡して黒星を重ねる昨季までの決別に、高橋周平の復帰は必要不可欠となっている。
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