50メートル5秒8の韋駄天がグラウンドを駆け回る。2021年の盗塁王に輝いた「足の切り札」和田康士朗は、開幕から一軍に帯同。今季2度目のフル出場となった5月31日の
阪神戦(ZOZOマリン)では、打撃でも存在感を見せた。
1点リードの4回二死一、二塁で相手先発・
青柳晃洋から右前に運び、今季初の適時打。
「全然打てていなかったので、ここからチームの勝利に貢献できる打撃をしていきたい」
送球の間には、快足を飛ばしてすかさずに二塁も陥れるなど、積極的な走塁も光り、この試合でチームは日本一に輝いた2005年の12連勝以来、19年ぶりとなる10連勝を飾った。
今季は守備固めや代走などでの起用。途中出場での1打席勝負などの難しい試合の入りは“切り札の宿命”だが、打席では24打数2安打の打率.083(6月21日現在)と率を残せていない。一方、昨季20盗塁だった自慢の足も4月3日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)、6月16日の
中日戦(ZOZOマリン)と2盗塁だけで、まだまだ物足りない。
2月の石垣島キャンプ中に視察に訪れた侍ジャパンの
井端弘和監督も「和田選手は足もある。やはり、まずはチームでレギュラーを獲ってほしい。いい成績を出して、秋(のプレミア12)に来てほしい」と目を掛ける存在なだけに、交流戦以降はさらなる巻き返しが求められる。
今季の目標には「30盗塁」を掲げる和田。「野球をやっている以上は、そこ(スタメン)が目標」。攻守走の3拍子がそろう逸材が、今季はさらなる飛躍を期す。
写真=高原由佳