
今や主戦捕手としても打線のピースとしても欠かすことのできない存在だ
地力をつけ、人気や知名度も伴ってきた。
DeNAの正捕手として実質1年目のシーズン。オールスターファン投票でも
山本祐大はセ・リーグの捕手部門トップを快走した。56万2807票を集め、2位・
中村悠平(
ヤクルト)と13万票以上の差をつけての選出。手にした初の夢舞台への切符はファンからの信頼の証しであるのは間違いないが、同時に自身の成長を示すものでもあった。
昨年は自己最多の71試合に出場。特にエース格の
東克樹とは開幕から全24試合でバッテリーを組み、懸命のリードで好投を引き出した。16勝(3敗)と勝率.842は投手2冠。最優秀バッテリー賞も初受賞した。「祐大のおかげ」とは左腕の口ぐせだったが、山本にとって何よりのほめ言葉。今季について100試合以上を目標とし「いろんな投手と(バッテリーを)組んで、いい成績を残したい」と成長を誓っていた。
2017年にドラフト9位で入団したたたき上げ。努力を重ね、今年3月には侍ジャパンにも選出されている。一流選手が集うせっかくの機会。同じ右打者で3学年下の
紅林弘太郎(
オリックス)に歩み寄り、助言をもらおうとしたのも向上心の表れだった。
ここまで59試合で打率.297、1本塁打、19打点。先発出場は52試合で、併用だった
伊藤光(10試合)や
戸柱恭孝(8試合)を引き離している。中でも若手投手とのコンビは安定感があり、6月16日の
西武戦(ベルーナ)ではルーキー・
石田裕太郎のプロ初完投初完封をお膳立て。「まだまだ引き出しを増やして、もっともっといい捕手になりたい」と慢心はない。打って守れるスーパー捕手へ。初の夢舞台での経験を生かし、理想を現実にする。
写真=BBM