このまま終わるはずがない。坂本勇人の復活――。阿部巨人が後半戦で優勝争いから抜け出すカギは、そこにある。
6月27日。坂本は2008年にレギュラーの座をつかんでから初めて、故障以外でファームに合流した。6月の月間打率.159と不振に陥り、ジャイアンツ球場で再起へ向けて再出発したスターは、「振っていて、バットのキレ、体のキレがないのは感じています。今の僕には何が大事なのかは、なかなかつかめないままシーズンをやっちゃっていた」と悩める胸中を明かした。
12月に36歳を迎える背番号6は昨季終盤に長年の定位置だった遊撃から三塁にコンバートされた。今季は兄貴分と慕ってきた新任の
阿部慎之助監督からもその打棒に期待をかけられていた。ただ、プロ18年目は本来の打撃ができない苦悩の日々が続く。
再調整期間は炎天下で猛烈な走り込み、振り込みを敢行。7月12日の
DeNA戦(東京ドーム)で六番・三塁として20日ぶりに一軍復帰したが、4打数無安打に終わり、「なんとかしないといけない。その一心だけ。結果がすべてなので」。坂本の定位置の三塁には一塁から
岡本和真が回り、一塁に入った捕手の
大城卓三は打撃好調だ。坂本がベンチを温めて終わる日も珍しくない。
しかし、チームの柱が折れたままで4年ぶりのリーグV奪回が果たせないことは、首脳陣もファンも百も承知だ。現役レジェンドが、ここから意地を見せる。
写真=BBM