
リードオフマンとしてチームをけん引する存在だ
前半戦、12球団でただ1人、フルイニング出場を果たしたのは
小郷裕哉だった。86試合出場で打率.277、6本塁打、36打点。大きな飛躍を果たした強打の外野手について、
今江敏晃監督も「野手では(前半戦は)小郷と辰己(涼介)が中心になって引っ張ってくれた。チームにとっての存在感は圧倒的なものがある」と絶賛する。
今季、一番打者として定着した6年目が目指すのは、球団初のシーズン全試合フル出場だ。「どの試合も、やっぱり見に来てくれているファンの方がいる。打って走って守って。代えられない選手を目指しているので、そこは続けられるように」。愛妻の献身的なサポートも受けながら、すべての試合で最初から最後までグラウンドに立ち続ける覚悟を示した。
胸に刻んだ試合がある。昨年6月8日の
阪神戦(
楽天モバイル)だ。チームは1点を追う9回二死一、二塁で
小深田大翔が右翼へサヨナラ逆転3ランを放ち劇勝。観客も総立ちになる中、1人号泣していたのが小郷だった。8回に自らがフライを落球して一時は逆転を許した。真っすぐな男は勝利の喜びをかみ締め、二度と同じ思いはしないことを心に強く誓った。
守備に課題を抱えた昨季は120試合出場にとどまった。だが、同戦の反省から「成長した姿を見せられるように」とこれまで以上に真摯に野球と向き合ってきた。チームのため、そして何よりもファンのために最高のプレーを見せ続けたい。その思いが形になりつつある。責任感の強い外野手はすべての人への思いを胸に、試合に出続ける。
写真=BBM