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楽天・田中和基 指揮官も認めるディフェンス力/これぞプロの技

 

選手会長も務める入団8年目。プレーでもチームを引っ張る


 生まれ故郷の福岡。田中和基が好守で魅せた。8月10日のソフトバンク戦(みずほPayPay)。13対6で迎えた9回二死二塁の場面だった。田中和が、牧原大成の放った左翼ファウルゾーンの観客席に入りそうな飛球に、ほぼ左翼定位置から猛ダッシュ。懸命にグラブを伸ばすと、フェンスに激突しながらも白球は離さなかった。圧巻のファインプレーで試合を締めた。

 8回に代走で途中出場し直後の守備から左翼の守備についた。ゲーム勘がない中ではあったが、相手選手のデータはきっちりインプット済み。バットがボールに当たった直後、打球方向を予測していた。冷静な判断に加えて自慢の俊足とジャンプ力。チーム屈指の身体能力がいかんなく発揮された。今江敏晃監督も「技術で言ったらトップレベル」と守備の技術については最高級の評価を与える。

 入団2年目の2018年に新人王を獲得した両打ちの外野手だが、この数年は度重なるケガや打撃不振に悩まされてきた。さらに今季は小郷裕哉が覚醒。外野手争いは激しさを増した。代走や守備固めなど出場機会は限られているが、その中でも毎試合ベストを出し尽くすという思いに変わりは無い。一球一打に集中しているからこそのファインプレーだった。

 8月25日時点で55試合に出場。打率.107とバットは湿ったまま。だが、このままシーズンを終えるつもりはない。圧倒的な守備力は、能力の一つにすぎない。節目の30歳を迎えた田中和は毎試合、全力で己の価値を証明していく。

写真=BBM
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