求めるものは、リーグ優勝に向かう「勝利」だ。
昨季は無安打無得点試合の達成もあり、防御率1.86は自己最高。一方で6勝6敗と貯金を作れなかった。
大瀬良大地にとって、「イニングも防御率も、もっといい数字を」と臨む新たなシーズン。「まずは2ケタ、勝ちたい」と意気込む先に、残り87イニングの通算1500投球回を通過点に、残り13勝に迫る通算100勝の達成がある。
昨季は白星に恵まれなかったものの、先発した25試合でチームは16勝7敗2分けと先発投手の役割は十二分に果たした。昨季20試合に先発した投手の先発時で比較した援護率1.46は、12球団で断トツのワースト(次点は
小笠原慎之介の1.99)。
「打線に流れを持ってくる投球ができてない。もっともっとできるはずだと思う」
この姿勢が長年「エース」と呼ばれてきたゆえんでもある。
2021年オフに3年契約を結び、1年目は防御率4点台、2年目は自己ワースト11敗。3年目はカットボール、スライダー主体の投球から
シュート、フォークの割合を増やすスタイルにモデルチェンジ。
「まだ頑張れるぞと思えるのか、境目の年だった。大瀬良大地という投手の幅を広げたいと考えてスタートして、うまくハマった」と、右肘手術を経て臨んだシーズンで意地を見せた。
野村祐輔(現三軍投手コーチ兼アナリスト)が現役引退し、チーム投手最年長となった右腕は、2年ぶり6度目の開幕投手にも意欲を示す。昨季11勝の床田、10勝の森下と争う。
「簡単に譲るのも、彼らにとっていいものなのか。邪魔なおっさんが一人ぐらいいても」
6月で34歳となるベテランが、まだまだ先頭に立って投手陣を引っ張っていく。
写真=兼村竜介