
春季キャンプではカーブにも挑戦。守護神の座をつかみ取る
変化を恐れなかった。「感覚的にすごくいいものがある。自分のものにして、投球の幅を広げたい」。2月1日、沖縄・宜野湾キャンプの初日。ブルペンへ向かった
山崎康晃は29球のうち1球、新球としてカーブを試した。150キロの直球と宝刀ツーシームを武器に現役3位の231セーブ。同じ守護神として一時代を築いた大先輩・
佐々木主浩さんにも「自分を助けてくれる球になるからチャレンジしてみなさい」と助言をもらった。ここ2年の不振から巻き返しを期し、習得を決意した緩い変化球。大きな一歩を踏み出したことは確かだろう。
昨年は自己最少となる38試合で4セーブ。49試合で20セーブだった一昨年から数字を下げ、クローザーも
森原康平に奪われた。「誰よりも9回の厳しさを知っているし、そこを生きがいにしてきた自負がある。思いはあるし、このままでは終われない」。1月には酸素濃度を標高3000メートル相当に設定したマスク型呼吸器を装着し、超過酷なサーキットトレーニングも経験。間違いなく復活の気配が漂っている。
「ふがいない投球でずっと、チームに迷惑をかけてしまったので。僕自身はできると思っているし、今年にかける思いは強く持っている」。昨年はセ・リーグ3位からの下克上で日本一を達成したが、心からは喜べなかったはずだ。リリーフ陣では
伊勢大夢が先発転向。現時点では森原とのハイレベルな一騎打ちが期待される。名球会入りの条件となる通算250セーブにも、あと19。ベイスターズには絶対不可欠な看板選手が、本気の戦いに挑んでいる。
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