打率.307をマークして2023年に首位打者を獲得した男が、巻き返しを誓う。頓宮裕真が、2月17日に行われた宮崎での春季キャンプ3度目の紅白戦で白組の四番・一塁でスタメン出場。2打席連続でアーチを描き、気を吐いた。
持ち前の長打力を存分に示す。初回一死一、二塁から紅組先発の左腕・
佐藤一磨の直球を振り抜いた。打球は風にも乗って左翼フェンスを越えた。3回の第2打席も、マウンド上の
本田圭佑の直球を完璧に捉えて左翼席へ。復活を期す今季の“思い”は、快音としてスタジアムに響かせた。
胸元の『Cマーク』が、キラリと光る。プロ7年目の今季は、
岸田護監督に主将に就くことを志願した。
「自分のためにも、オリックスのためにもお願いしました。しっかりと先頭に立って1年間、やっていきたいと思います」
悔しい結果に終わった昨季の苦闘が脳裏をよぎる。「その日、その日で感覚が全くダメで。結果ばかりを追い求めてしまった」。23年に輝いた首位打者から一変、昨季は81試合の出場で打率.197と低迷。「このままではダメだな、と。これ(主将)をきっかけにしたい」と気持ちを強くし、打撃だけでなく、個別練習では一塁守備でも汗を流す。
今季は岡山理大付高、亜大の先輩にあたる
九里亜蓮が海外FA権を行使して
広島から加入。先輩右腕の移籍も力に変えつつ“不動心”で新シーズンへ。
「(昨年は)結果ばかりにこだわっていたので、今年はそうならないようにしたい」
目指すは2年ぶりの頂点だけだ。
写真=BBM