元プロの指導を受け春のリーグ戦でレベルアップ
全日本大学野球連盟が主催する「冬季特別トレーニング東日本2016」が2月15、16日、
読売ジャイアンツ球場室内練習場(神奈川県川崎市)で行われた。プロアマ交流の一環として2011年に始まったもので、今年は各地区の大学野球連盟を通じて応募した87人が投手、捕手、野手のポジションごとに元プロのコーチから指導を受けた。
2月16日には今秋のドラフト候補で慶大の153キロ右腕・加藤
拓也(4年・慶應義塾)が参加。その剛腕ぶりから、力任せに投げていると誤解されがちだが、高校1年の秋に捕手から投手転向して以来、筋力アップとともに、フォームを試行錯誤しながら固め球速を10キロ伸ばしてきた。この日も「いろいろ聞いて、選択肢を広げたい」と臨み、ブルペンで元巨人の
水野雄仁氏の指導を受けた。
水野コーチは約25分間の指導のなかで、加藤に100キロ程度の緩い球を投げる練習方法を勧めた。ゆっくりした動きで投げると、自分のフォームのいい点や悪い点、ミスなどが発見しやすい利点がある。加藤は「自分の体がどう動いているか、いつも確認しながらやっている。速い動きだと惰性で動けてしまうけど、ゆっくりした動きで投げて、見えたものがあった」と手応えを口にした。

東京六大学で通算16勝の慶大・加藤は元巨人・水野雄仁氏からの指導に刺激を受けた
加藤はこの冬から、軸足を投手板に平行に置くのではなく、カカトをホームベース方向に少しずらして投げるようにした。右ヒザが内側に入るのを防ぐためで、これにより「体重移動がスムーズになった」という。だが、水野コーチは加藤が投げ始めると、すぐにその部分を指摘した。
「水野さんは『あまりカカトを出し過ぎないほうがいい。体がホームベース方向に正対しないので、力をロスしてしまう』と。ただ、『結局は投げやすいのが一番いい』とも言っていただきました」(加藤)
加藤はテークバックで胸を張るため、体がやや背中側に倒れるような形になる。水野コーチはその点が気になったようで、倒れないようにするために加藤の背中側に立っていた。
「水野さんからは『あまり後ろに反らないように』と言われたのですが、僕は反ることで上から強い球を投げることができている。人と同じ投げ方をしても自分の良さが出ないので、吟味したい」と加藤。言われたことを全部取り入れればいいのではなく、どうするかは本人次第なのだ。
剛速球に加えて求められる「安定感」
今季、慶大・
大久保秀昭監督は加藤に「先発完投して大車輪でやってほしい」とチームの勝ち点奪取、V奪回のため、展開によって1、3回戦の先発勝利を期待する。その役割を果たし、プロの世界で活躍するためにも、今の加藤に求められるのは安定感だ。水野コーチも「速い球を投げられるのだから、これからは安定していい球を投げることを求めていったほうがいい」と助言している。
「水野さんの指導を受けて、上のレベルを目指すなら、自分の体をコントロールしながら投げることが必要だと分かった。ちょうど今、取り組んでいることなので、よかったです」。加藤は明るい表情で言った。
元プロのコーチからアドバイスを受けながら、自分のフォームを修正する。その過程で、加藤はまた成長していく。(取材・文=佐伯要)