
東京大会決勝は昨秋と同じカード。異例のナイトゲームで行われ、神宮には2万人の大観衆。試合も白熱し、延長へもつれた末、早実が12回にサヨナラ勝ち。日大三高は昨秋に続く準優勝で、試合後は櫻井と早実・清宮の両主将が健闘を称え合った/写真=田中慎一郎
「エース温存」で準優勝。あくまで勝負は「夏」
セーフティーリードなどなかった。「ノーガードの打ち合い」。昨秋に続く早実との東京大会決勝は、日大三高・小倉全由監督にとって想定内の展開だった。壮絶なシーソーゲームは9回を終え17対17。日大三高は初回に4点を先制し、3点を追う9回表に7得点の大逆転で4点のリードを奪うが、その裏、早実に追い付かれた。延長では一転、試合は膠着状態となり、日大三高の12回表の攻撃で午後10時が過ぎて鳴り物応援はなくなった。多くの観客が詰め掛けることを見込み、23日の神宮第二球場(5600人収容)から、神宮に移し、27日の異例のナイトゲームに変更。2万人が集まった大観衆はほとんど、席を立とうとしなかった。
12回裏、日大三高はついに、力尽きた。のべ7投手、四番・
金成麗生(3年)も公式戦初マウンドに上がった。最後は2度目の救援となった八木がサヨナラ安打を許した。時計の針は10時6分を指していた。ライバル対決で、昨秋に続くサヨナラ負け。試合時間は4時間2分。この日はプロ野球が各地で5試合が行われていたが、高校野球の神宮が最も遅いゲームセットとなった。「こんな試合、見たことがない。やっと終わった……」。仕事帰りのサラリーマンが家路に着く足取りも、やや重たく感じられた。勝者は、勝てば疲労も吹っ飛ぶであろうが、敗者の心身の負担は相当であったはずだ。
主将兼プロ注目左腕は指揮官の“思い”を理解
三塁側第二ロッカーで行われた試合後取材。小倉監督は開口一番「長かったですね」と苦笑い。そこに心の底からの悔しさは感じられず、むしろ、余裕さえ見受けられた。投手に関して言えば「総力戦」ではなかったからだ。帝京高との準決勝を制した時点で、主将兼左腕エース・
櫻井周斗はすぐさま、小倉監督から・・・
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