
オランダ国内リーグの「HCAW」には18歳の捕手、ダイラン・コスター[写真上]、17歳の遊撃手、デラーノ・セラッサ[写真下の左]の2人が在籍。2人は、今大会のロースターに名を連ねる/写真=阿佐智
第28回 WBSC U-18ワールドカップは9月1日(現地時間)からカナダ・サンダーベイで、12カ国・地域が参加して行われる。日本の過去最高成績は準優勝。今大会は充実の戦力で悲願の世界一を目指すが、ライバルとなる欧州の強豪・オランダの野球熱について掲載していく。
先のWBCでの戦いぶりを見ると、もはや“ヨーロッパの雄”というより、世界の強豪の一角を担う存在になりつつある。メジャーへの人材送り出しを狙ったアカデミーが次々とできているカリブ領のキュラソーに対し、本国のほうは、あくまでアマチュアリズムに基づくクラブによるアカデミーでの育成の域を出ていない。
学校にはいわゆる「部活」はないが、体育の授業があり、ここで野球に出合ったという選手も多い。元
楽天の
ルーク・ファンミル(キュラソー・ネプチューンズ)もその一人だ。
「学校の体育ではあらゆるスポーツを体験するんだ。僕は7歳のときに初めて野球に触れたね。まあ、ティーボールみたいなものだったけど。その後、地元のクラブに入ってずっとプレーしていたんだ。それで20歳のときに、メジャーのスカウトに声をかけられてツインズと契約したんだ」
ファンミルの話では、高校時代は週末の2日が試合で、放課後の練習も週2回だけ。彼は、クラブでプレーしていただけだったが、トップ選手の多くは、フーフトクラッセ(トップリーグ)にも参加しているビッグクラブの運営するアカデミーで英才教育を受ける。WBCに選手としても出場経験のあるトップチーム代表のコルデマンコーチは、現在のジュニア世代育成についてこう言う。
「この国では、スポーツはクラブが引き受けるんだ。野球の場合、人気があるわけではないから、トップチームの選手がプロかどうかはチームによって違う。基本、トップリーグでも入場料は取らないから、クラブの収入は、試合時の観客の飲食にスポンサー、国からの補助金、それにジュニアを育成するアカデミーの会費ということになるね。ジュニアは年齢別、レベル別に分けられていて、うちのクラブ(アムステルダム・パイレーツ)はフーフトクラッセ(トップリーグ)に所属している大人のチームや女子のソフトボールも合わせると全部で20チームあるよ」
プロが存在しない分、国際大会への意気込み強い
パイレーツやネプチューンズのような強豪チームともなれば、トップチームのメンバーのほとんどはプロ契約を結び、週末の試合のほか、チームの全体練習が週2日、メンバーの多くが名を連ねているナショナルチームの練習が同じく2日と、ほぼ野球に専念。このようなクラブでは、選手の本業は野球で、仕事をする選手もアルバイト程度にとどまる。このような環境の下では、学生のU-18世代の選手もプロとしてトップチームに参加することも可能だ。先に挙げた2球団と肩を並べるプレーオフの常連、HCAWには18歳の捕手・ダイラン・コスター、17歳の遊撃手、デラーノ・セラッサの2人が、ベテランに混じってレギュラーとしてプレー。彼らは今大会のロースターにも名を連ねる。セラッサに日本の印象について聞いたが、選手名などはまったく知らないという。

デラーノ・セラッサ
今年もロッ
テルダムで日本や台湾を招いて大会を開催するなど、国際大会の常連。U-18もWBCも数ある国際大会の一つに過ぎない。しかし、今大会に対するモチベーションが弱いということではない。プロリーグがない分、国際大会に対する選手関係者の意気込みは強く、ジャイアントキラー(大物食い)にジャパンも要警戒だ。(取材・文=阿佐智)