
大学日本代表候補合宿では、攻守にわたりアグレッシブなプレーを披露。24人の代表入りこそ果たせなかったが充実の3日間を過ごした/写真=田中慎一郎
候補合宿をステップに追う偉大な先輩の背中
中京高(現中京学院大中京高、岐阜)出身で中京学院大の背番号7。しかも、右投左打の遊撃手とくれば、
吉川尚輝(現
巨人)の名前が思い浮かんでくる。尊敬する先輩と同じキャリアを歩んできた
吉位翔伍は、姿勢を正して言う。
「2年秋から7番を着けさせていただき、周囲の方からもよく比較されますので、少しでも近づけるようにしたい。動画も見て勉強しています。でも、意識し過ぎるとよくないので、自然体で臨んでいます」
吉川は2016年の全日本大学選手権で初出場初優勝の原動力となり、日米大学選手権でも活躍した。侍ジャパン大学代表をステップに、一流選手への階段を駆け上がっている。さかのぼれば、中京学院大出身者では、代表入りこそ果たせなかったが、
広島・
菊池涼介も在学中の「大学日本代表候補合宿」を通じ、プレーヤーとして大きくレベルアップしている。先輩2人が歩んだルートを吉位も一歩、踏み出す形となった。
今年6月、中京学院大は東海地区の代表として、3年ぶり2回目の大学選手権出場。桐蔭横浜大との1回戦で「三番・遊撃」で出場した吉位は、5打数2安打。チームは初戦敗退(7対8)を喫したものの、右翼線二塁打に左前打と、持ち味のバットコントロールを披露している。この活躍が侍ジャパンスタッフの目に留まり、吉位は大学日本代表候補に追加招集。6月21日から3日間の選考合宿に参加。24人の代表メンバー入りはならずも、貴重な経験を積んでいる。
居酒屋バイトは減らす方向
打撃センスの良さは、高校時代から際立っていた。3年夏、大分高との甲子園1回戦では、10対4と大量リードした8回に決定的な右越え2ラン。夏の選手権通算1500号の記念弾を放ち、同校14年ぶりとなる全国舞台での勝利に貢献している。
常総学院高(茨城)との2回戦で敗退したものの、四番・
今井順之助(現北海道
日本ハム)と組む破壊力ある打線は強烈なインパクトを残した。同年6月の全日本大学選手権で初優勝した中京学院大は中京高の系列校で、同じグラウンドを使用する。吉位は当時4年生の吉川と、一緒にノックを受けることもあった。
あこがれの先輩の背中を追うようにして入学した中京学院大では1年春からベンチ入りし、2年秋、二塁から遊撃手へコンバート。今春は岐阜リーグを勝ち上がり、東海地区選手権(静岡リーグ、三重リーグの優勝校と対戦して代表校を決定)でも2試合で7打数4安打と活躍し、吉位のバットが全国舞台へと導いたのだ。
大学日本代表合宿2日目の紅白戦では、2打数無安打。「何とか結果を残さないといけない。必死でした」。最終日の紅白戦では3打数2安打。法大の変則左腕・新井悠太朗(4年・折尾愛真高)から右中間への二塁打、日体大のドラフト候補右腕・
吉田大喜(4年・大冠高)から左前打が適時打となり気を吐いている。
学費の一部を補う目的や、野球用具を購入のため、中京学院大ではバイトが許可されている。吉位は練習後、19時から4時間、週3回、居酒屋で働く。ただ、今後は野球により集中するため、シフトを減らすという。本気でプロを目指すため――。これも先輩・吉川と同じタイミングでの決断だ。(取材・文=岡本朋祐)
PROFILE よしい・しょうご●1998年10月24日生まれ。岐阜県出身。176cm75kg。右投左打。青墓小2年時から青墓クラブで野球を始め、赤坂中では岐阜ボーイズでプレー。中京高では2年春からベンチ入りし同秋から二塁手で3年夏の甲子園出場。中京学院大では1年春からベンチ入りし、二塁を経て2年秋から遊撃手。今春は岐阜県リーグ、東海選手権を通じて13試合で打率.447、9打点。東海地区選手権では最優秀選手賞、首位打者、ベストナインを受賞している。