
昨秋の東都大学リーグの覇者・中大には各ポジションに有望新人が加入した。左から石井、岩本、根本/写真=佐伯要
甲子園で輝き放った技術を神宮でも実践
黄金時代、再び──。昨秋の戦国東都を制した中大に、期待の新戦力が加わる。石岡一高(茨城)のエース右腕・
岩本大地、作新学院高(栃木)の遊撃手・
石井巧、習志野高(千葉)の中堅手・根本翔吾が、2月初旬から中大の練習に合流している。
岩本は最速146キロ右腕。「早く試合に出たいけど、まずはじっくり、着実にやっていって、自信を持って投げられる実力をつけてマウンドに上がりたい」と、初々しく話した。
高校2年の秋、ある練習試合で先発した際に、直球だけで押して3回で2ケタ失点。「考え方を変えないと、成長できない」と気づいた。それまでは力んで投げていたが、力を抜くことを意識して投げるようになり、直球の球質が上がった。スライダーも打者の手元で鋭く曲がるように磨き、投球の幅が広がったという。
昨春のセンバツに21世紀枠で出場。盛岡大付高(岩手)の強力打線を9回二死まで無失点に抑えた。延長11回に一死満塁から自らの本塁悪送球でサヨナラ負け(2対3)を喫したものの、140キロ台前半の伸びのある直球とスライダー、チェンジアップで11奪三振と力投した。
「高卒でプロへ行けたらいいな、という思いはあった」と言う。しかし、3年夏の茨城大会では準々決勝で敗退。「夏に甲子園に行けず、プロはまだ早いと思った。プロを多く輩出している中大で4年間頑張って、プロへ行きたい」と、進学した。

石岡一高出身の岩本は21世紀枠で出場した昨春のセンバツでも、完成度の高い投球を披露している/写真=BBM
中学時代も3年夏に茨城県南部の選抜チーム「オール県南」のエースとして、全日本少年軟式野球大会(横浜スタジアム)で4強進出。「横浜スタジアム、甲子園という大舞台で強い相手と対戦した経験は、大学野球でもプラスになると思う」と、チラリと自信をのぞかせた。
「東都で結果を出した投手がプロでも活躍する。そういうレベルの高いリーグで4年間やるので、プロで通用する投手を目指します。エースを目標にして、4年生になったら大事な試合を任されるようになりたい」
「本物」を追求した高校時代
石井は攻守走のバランスが取れた右打ちの内野手。「まだリーグ戦で活躍する自分を想像できていません。先輩方からたくさん吸収して、一日一日を大切にやっていきたい」と、落ち着いた口調で話した。
兄は、北海道
日本ハムでプレーする
石井一成。作新学院高、早大で主将を務め、プロへ進んだ。「兄と比較されるのが嫌な時期もあったけど、いい目標です」と言う。
2年夏から3季連続で甲子園に出場した兄の背中を追うように、作新学院高へ入学。自身も2年夏と3年夏に甲子園に出場した。3年夏は四番を打ち、中京学院大中京高(岐阜)との準々決勝で先制3ランを放つなど3試合で5安打6打点を記録。兄と並ぶ8強入りを果たしている。

作新学院高出身の石井は日本ハム・石井一成[早大OB]を兄に持つ。昨夏の甲子園準々決勝[対中京学院大中京高]では初回に豪快な3ランを放った/写真=BBM
2年秋の新チーム結成時から主将に就任。秋の栃木大会は準優勝したが、関東大会で初戦敗退。3年春は栃木大会8強と、常勝を義務付けられたチームとしては結果がでなかった。「周りから『強い』と言われ、勘違いしていたのかも……。みんなが人任せになっていました」。
同校の小針崇宏監督からは「甲子園では、本物しか通用しないぞ」と言われ続け、3年生がグラウンドに入れてもらえない時期もあった。そんななかで石井が中心となってチームをまとめ、一人ひとりにチームを引っ張る自覚が芽生えたことが、3年夏の9年連続甲子園出場につながった。
小針監督の薦めで進学を志した中大でも、リーダーシップを生かす。「いずれはチームを引っ張る存在になりたい。自覚を持って動きたい」と、表情を引き締めた。
大学の目標を聞くと、こう答えた。
「タイトルとか数字……ではないです。必ずリーグ優勝、日本一に貢献できる人間にならないといけないと思っています。卒業後は、できればプロに行きたい。そのためにもケガをしない、強くて、しなやかな体を身につけたいですね」
順調なら春からベンチ入り
根本は俊足巧打の左投げ左打ちの外野手。「すべての部分でレベルアップしないと通用しないと思っています。まずは基礎をしっかりさせて、先輩方に一歩でも実力で近づけるようにしたい」と、控えめに話した。
一番、三番を打つ中堅手として習志野高伝統のスキのない野球を支え、昨春のセンバツ準優勝に貢献した。
「野球では0.1秒の差でアウトかセーフかが分かれる。高校時代はチーム全員でそこを意識して、『試合のための練習』を徹底してきました。走塁を磨いてきたので、大学でも次の塁を狙う姿勢をアピールしたい」

習志野高出身の根本は昨春のセンバツ準優勝。竹縄俊希とのダブル主将として夏の甲子園出場にも導いた/写真=BBM
中大には、中堅手のレギュラーに格好のお手本がいる。
五十幡亮汰(4年・佐野日大高)。中学時代に陸上の100メートルで現在の日本記録保持者・サニブラウン選手に勝ったことで知られる、俊足のドラフト候補だ。五十幡がいることを含め、「環境が自分に合っている」と中大を志望した。
「五十幡さんは、自分があこがれる選手の一人。一緒に野球をして、自分のレベルを上げたい」
大学卒業後の希望進路について聞くと、「4年後のことなんて、まだ考えられません」と答えた。
「プロになるのが小さいころからの夢ですが、自分の実力と比較しながら進路を決めたい。4年間、地道にやっていけたらと思っています」
根本は取材中、いい意味で新人らしくない、地に足がついた答えを返した。
「習志野で小林(小林徹)監督から『目の前の試合を一つひとつ戦うこと』と『自分を見つめて、足りないところをしっかりやること』を教わったので」と、笑顔を見せた。
中大を率いる
清水達也監督は「岩本はマウンド度胸があり、三振が取れる。石井は攻守に安定感がある。根本は野球を知っていて、実戦向き。3人とも順調ならベンチ入りの可能性はある。昨秋からレギュラーとして出ている選手たちの刺激になってくれれば」と、期待している。
ルーキートリオは秋春連覇を狙うチームで厳しいレギュラー争いに挑んでいく。いずれは、3人が強固なセンターラインを築くに違いない。(取材・文=佐伯要)
PROFILE いわもと・だいち●2001年10月16日生まれ。茨城県出身。174cm75kg。右投右打。小幡小2年から小幡スポーツ少年団で野球を始め、遊撃手としてプレー。八郷中では軟式野球部で投手。選抜チーム「オール県南」のメンバーとして3年夏の全日本少年軟式野球大会で4強。石岡一高では1年春からベンチ入りし、同秋からエース。2年秋は茨城大会で4強入り。3年春のセンバツは1回戦敗退。同夏の茨城大会では8強入り
いしい・たくみ●2002年3月2日生まれ。栃木県出身。178cm76kg。右投右打。小川南小1年から小川那珂クラブで野球を始め、内野手としてプレー。小川中では軟式野球部で遊撃手。作新学院高では1年春からベンチ入りし、2年春から遊撃のレギュラー。2年夏の甲子園は1回戦敗退。同秋は栃木大会で準優勝し、関東大会1回戦敗退。3年春の栃木大会では8強入り。同夏は主将として、甲子園でベスト8まで進出
ねもと・しょうご●2001年4月13日生まれ。千葉県出身。166cm69kg。左投左打。豊住小1年から豊住
ヤンガースで野球を始め、主に投手。成田中では佐倉シニアに所属し、中堅手としてジャイアンツカップ4強。習志野高では1年夏からベンチ入りして同秋からレギュラー。竹縄俊希とダブル主将となった2年秋は千葉大会で優勝し、関東大会4強。3年春のセンバツでは準優勝。同夏は甲子園2回戦で敗退している