週刊ベースボールONLINE

第78回JABA東京スポニチ大会

ENEOS・松浦佑星の野球観 攻守で魅了するスピードスター 大卒ルーキーが圧巻のデビュー

 

シュアな打撃で安打を量産。打線に欠かせない存在となっている[写真=川口洋邦]


 ENEOSを率い、都市対抗で歴代最多の4度の優勝を誇る名将・大久保秀昭監督(慶大)が「これまでに預かった選手の中で、1番目か2番目に脚力がある選手」と評すのが、新人の松浦佑星だ。本人も「足は自分のセールスポイント」と認める俊足は50メートル走を5秒93で駆け抜け、日体大の3年秋にはリーグ戦12試合で14盗塁を記録。脚力を最大限発揮するために「出塁率にこだわっています」と、同シーズンは打率.364に加えて14の四死球を選び、出塁率.517をマークしている。

 昨年はプロ志望届を提出。しかし、春は左足のハムストリングを、秋も開幕直前に右足太ももを肉離れしてしまい「満足なアピールをすることができませんでした」と、ドラフト会議では指名の声が掛からず。社会人野球の世界へ進むことを選択した。

「正直、自信を持って『プロで戦える実力がある』とは言えませんでしたから、2年後にプロへ行けるようにENEOSで打力も守備も走塁もうまくなりたいです」

 社会人では「バッターのスイングの強さなど、レベルが全然違う」と印象を語る。守備ではこれまで定位置としていた遊撃ではなく、二塁を守っている。大学時代に守っていた経験もあり「違和感はありませんし、試合に出られるのならどこでも」と意欲的だ。ENEOSの二塁手と言えば、22年の都市対抗決勝(対東京ガス)で決勝ソロアーチを放った小豆澤誠(上武大)がいるが「構えを低くするように助言をしていただきました。小豆澤さんの良いところを盗んで、追い越せるように練習していきたい」と話す。

公式戦で持ち味を存分に発揮


 こうして迎えた3月のJABA東京スポニチ大会ではホンダ熊本との予選リーグ初戦から「一番・二塁」で先発出場。第3打席には「つなぐ意識でボール球に手を出さないように心掛けていたのですが、カットボールに体勢を崩されずにしっかりとバットが振れました」と左中間へ適時三塁打。バッティングでは「体が開かないように気を付けています」と話すが、左打ちの打者にとって体が開きやすい左投げのサイドスローに対し、ボールを引き付けて巧みなバットコントロールで逆方向へはじき返した。また、レフトはフェンスに到達する前に打球を処理したが快足を飛ばして悠々と三塁へ。第4打席もセンターへヒットを放つと「狙っていました」と二盗を成功させた。

 守りでも軽快なフットワークで守備範囲の広さを見せるなど、持ち味を十分に発揮した。JR東日本戦ではバント安打を決め、JFE西日本戦は3安打1打点1盗塁。大会通算では打率.500(12打数6安打)と活躍した。だが、それでも「自分の思うような打球が打てていませんし、ボールの見え方もまだまだ」と気を引き締め、「伝統あるENEOSの名に恥じないようにレギュラー定着を目標にしてしがみついていきたい。二大大会の優勝に貢献できるように頑張ります」と松浦は力強く語る。

 JABA春季神奈川県企業大会でも2試合通算で9打数6安打の大当たりと、見事な開幕ダッシュを決めたスピードスターに注目だ。(取材・文=大平明)

PROFILE
まつうら・ゆうせい●2001年10月6日生まれ。宮崎県出身。175cm75kg。右投左打。西都市立三納小1年から三納野球スポーツ少年団で野球を始める。三納中では宮崎スラッガーズでプレー。富島高では1年秋からベンチ入りし、2年春と3年夏に甲子園出場。日体大では1年秋に遊撃手、3年秋は二塁手としてベストナインを受賞。ENEOSでは入社1年目から一番打者として起用されている。
アマチュア野球情報最前線

アマチュア野球情報最前線

アマチュア野球取材班、ベースボールライターによる、高校・大学・社会人野球の読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング