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2024新監督

鎌田将吾監督(日本新薬)が示す「チャレンジ精神」の神髄 2年ぶりの都市対抗へ準備万全

 

鎌田新監督[右から3人目]は現役時代に捕手。ち密な野球を展開していく[写真=田中慎一郎]


「失点を少なくし、ウチらしい守り勝つ野球をしていきたい」と話すのは、今シーズンから日本新薬の指揮を執っている鎌田将吾監督(朝日大)だ。鎌田監督は1990年生まれの33歳。現役時代は侍ジャパン社会人代表にも選出された強肩強打の捕手で、昨年の選手兼任コーチから昇格した。

 今季のチームスローガンは「Challenge」を掲げた。チャレンジをするために「選手にはまずは考えてほしいんです。どうしたら塁に出られるのか。どうしたら勝てるのか。頭を使わないと昨シーズンと変わらないですから。これまでは指示待ちの選手が多かったので自分たちで考えて、自分たちで野球をやってもらいたい」と鎌田監督。主将・橋本和樹(立命大)も「昨年と比べて、選手は皆、探究心を持って練習や試合に臨んでくれているので良い方向へ進んでいると思います」と話し、チーム内には「考えて、チャレンジ」する意識が浸透した。

冬場はハードな練習を消化


 3月のJABA東京スポニチ大会では「試合中、選手が声かけに使う言葉が変わりました。周囲の状況や相手の動きを見て、打者に対しては『低めを見極めていこう』。ランナーには『走ってもいいぞ』というように、これまでよりも具体的で選手のためになる言葉が掛けられるようになっていました」と、鎌田監督も効果を実感していた。

 冬場は「質も量も例年以上に厳しかった」(橋本主将)とハードな練習をこなしつつ、ち密な野球の確立を目指してきた。「元々、ウチの選手たちは練習をかなりやってくれているのですが、その練習を結果に結びつけるため、実戦的な練習を積み重ねてサインをきっちりと遂行できるようにしてきました」(鎌田監督)。特にこだわったのは「エンドランをはじめとした機動力を使うことで一死三塁の場面を作ること」と指揮官は語る。

 JABA東京スポニチ大会のセガサミー戦では一死一塁からエンドランを敢行し、左前打で一、三塁の好機を作った。ただ、次打者はセカンドゴロで併殺に倒れて得点には至らず。

「あとは三塁へ走者を進めたあとにどうするのか。併殺打が犠牲フライになれば得点を積み重ねていけるので、JABA大会でチャレンジと修正をし、都市対抗の予選までには完璧にしておきたい」(鎌田監督)

 新戦力も台頭した。日本製鉄鹿島とのリーグ戦初戦で先発に抜てきされたルーキー・遠藤慎也(亜大)は5回1失点に抑える好投でチームに今季初勝利をもたらし、根路銘太希(九州共立大)は三番・DHで全3試合に先発出場。通算3安打、1盗塁を記録した。鎌田監督は「遠藤は真っすぐが良く、気持ちが強い。私が日本新薬に関わった11年間で新人としてはNo.1の投手なので、いずれは軸になると期待しています。根路銘はバットに当てる技術が高く、足も速い。チームカラーに当てはまっています」と話しており、今後も頼もしい存在となりそうだ。

 昨年は都市対抗の本大会出場を逃しているだけに「目標は都市対抗の予選を突破すること。その段階を踏んでから、日本一を目指したい」と鎌田監督。33歳の若き新指揮官に導かれ、日本新薬はチャレンジを続けていく。(取材・文=大平明)
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