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第49回社会人野球日本選手権大会

マツゲン箕島硬式野球部、企業チームに跳ね返された壁 若さを武器に再挑戦

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マツゲン箕島硬式野球部はNTT東日本との1回戦で初戦敗退を喫した[写真=宮原和也]


 和歌山で活動するクラブチームの強豪・マツゲン箕島硬式野球部が大きな転換期を迎えている。所属選手33人中13人が新人という構成で、最年長が26歳の若いチームである。2019年の前回優勝時のメンバーは一人もいないフレッシュな顔ぶれで、9月の全日本クラブ選手権を4大会ぶり6度目の制覇。打倒・企業チームを目指して、日本選手権1回戦でNTT東日本と激突した。

 先発マウンドには新人・奥田貫太(花園大)が上がった。大学時代から活躍していた右腕は社会人でフォークを覚えた。「大学と違って社会人では横の変化だけだと空振りが取れない。奥行きを出せるようなピッチングをしないと抑えられないなと思って習得しました」。新球種も有効に使って1年目から主戦を担い、全日本クラブ選手権では2試合15回を投げて1失点、18奪三振の好投でMVPに輝いた。最大の武器は、スリークォーターから繰り出す威力のあるストレートだ。京セラドームのマウンドでも初球に150キロを計測した。

「向こうも真っすぐを張ってきていると思ったので、それを弾き返されるのか、通用するのかという思いで思い切って投げました」

 4回裏二死三塁のピンチで一番打者を三飛に打ち取るとガッツポーズ、この場面で投げ込んだ渾身の1球も150キロだった。「変化球打たれるよりは自分のストレートで押したいな」と力勝負を選択し押し込んだ。ただ、全体としては5回途中5失点。失点の原因となった4四死球を改善点に挙げ「課題だらけの1年でした。大事な試合で勝てなくて、迷惑かけてしまったんですけど、この経験を無駄にしないように、来年は勝てる投手になりたいです」と話した。

 打撃陣も散発5安打無得点。三塁を踏めずの敗戦(0対6)に西川忠宏監督(箕島高)はこう明かす。

「久しぶりの大きな大会で緊張もあって、こういうところに慣れていくのが必要不可欠というのが第一印象で、なかなか打てなかった。先頭打者を出せなかった。そこを課題として来季へ向けてやっていきたい」

多くの観衆が京セラドームに詰めかけた[写真=宮原和也]


来年は12人が新加入


 分厚い壁に跳ね返された形となったが、来季に向けての種もまいた。ベンチ入り25選手のうち22人が出場。若いチームが大舞台の雰囲気を肌で感じ、大幅な入れ替えは来年も続く。4月には新たに12人が入部予定だ。「久しぶりに(全日本クラブ選手権で)日本一獲れましたのでここを目標にやってきたんですけど、ここで勝つということを意識できるチームづくりをやっていければと思います。来年は期待の新人もたくさん入ってくるので、競争率を高めて、今出ている選手がレギュラーでなくて、もっと競争心が出てきたときに強いチームになっていくと思っています」と指揮官。大量の加入は、同じ数の引退を意味する。

 主将・藤田幸永(追手門学院大)もバットを置く一人。「今日の試合は若さが出たと思うので、この試合を糧に来年、都市対抗予選からやってほしいなと思います。今いる選手は今大会が初めてだったので、次は2度目になるので頑張ってほしい。次は勝てると思っています」と、後輩たちに思いを託した。2025年、若い力で新たな歴史を刻んでいく。(取材・文=小中翔太)

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