
正富氏[右]、小松氏[左]が投球制限検証ワーキンググループでの結論を導き出した[写真=小中翔太]
大会前検診の成果
日本高野連は2020年から24年までを試行期間としていた「公式戦の投球数は1週間500球以内」の制限を25年度から正式に高校野球特別規則とすることを決めた。1月23日、大阪市内で行われた理事会で承認された。決定までの経過に迫る。
1週間500球以内は2019年に「投手の障害予防に関する有識者会議」による答申の中で提言されたもの。このルールが妥当か検証するために、投球制限検証ワーキンググループが設立された。メンバーは日本高野連医科学委員長の正富隆氏を座長に、成長期の障害予防に熱心に活動し、春夏の甲子園大会でも大会前検診を担当する医師たちで構成。収集したデータの解析には統計学の専門家である大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座環境医学助教・小松雅代氏らの協力も仰いだ。
肩肘の大会前検診は1990年代から制度化しており、ワーキンググループ発足時には大会前検診の結果と準々決勝、準決勝の試合後に登板した投手を大会前検診と同じ手法で検診をしたデータが20年分残っていた。この投球数が多いであろう延べ421人のデータをA群、22年夏から24年春までの4大会は1回戦から決勝まで全試合検診を実施しており、そこで収集した投球数が少ない投手も含めた延べ454人のデータをB群とし、トータル875人のデータを使って肩肘の痛みの発生割合を調べた。
痛み発生要因は複数考えられ、どれがどれほど影響しているか多変量解析で分析を行った。因子としたのは以下の7項目である。
・開催年(1週間500球ルール導入前か後か。2001~19年か2021~24年)
・大会種別(センバツか選手権か)
・体格差(BMI25未満か25以上か)
・大会前検診で肩に痛みがあるか
・大会前検診で肘に痛みがあるか
・成長期の投球障害の後遺症が残っているか(大会前検診のレントゲンで内側側副靱帯の裂離骨片があるかないか)
・累積投球数
その結果・・・
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